■連載/阿部純子のトレンド探検隊
カインズグループとして新生ハンズの第一歩となった「ハンズ新宿店」
6月29日に「ハンズ新宿店」がリニューアルオープンした。2~7階がハンズ店舗で、昨年、ハンズを傘下に収めたカインズの店舗が8階に入る。
ハンズのフラッグシップ店となる新宿店にカインズが進出した経緯について、カインズ 代表取締役社長 CEO/ハンズ 代表取締役会長 会長執行役員の高家正行氏はこう話す。
「カインズの標準型である、店舗面積が約1万㎡と駐車場を兼ね備えた郊外型店舗は都心部にはなかなか出店できない条件ですが、都心から比較的近い郊外に『スタイルファクトリー』というブランドで1000~1700㎡の店舗を商業施設の中に作る試み行ってきました。
最近ではカインズの屋号(カインズそよら湘南茅ヶ崎)で、茅ケ崎の商業施設の中に1000坪(約3305㎡)ほどの店舗をオープンさせています。都市部に住んでいるお客様にカインズの商品をいかにお届けするかトライを続けている中で、新宿店が実現しました。
茅ケ崎の店舗はイオンの施設に1テナントとして入居していますが、新宿店はハンズの館にカインズが入るということで、単なるテナント以上のものを目指していきたいと思っており、それこそが『DIY文化の共創』であると考えています。
例えば6階にある『HANDS DO』は365日、何らかのワークショップを行われる場所で、ハンズとカインズが一緒になってコンテンツ作りを行っていきます。エントリーユーザーに対して多くのコンテンツを持っているカインズと、趣味に特化した尖った感覚を持つディープユーザーに対するコンテンツを多く持っているハンズがコラボした、ユニークなコンテンツ作りができるのではないかと思っています。
ハンズ7階のコーヒーミルお試しコーナーは、休日に自分のためだけに淹れるこだわりのコーヒーに使うミルを、実際に試してから買うことができる売り場。暮らしの質を上げるというアイデアを基にしています。
一方でカインズの商品は、毎日の暮らしをより機能的に便利にしていくことを追求しているオリジナル商品を多く揃えており、まだ8階のカインズには入っていませんが、忙しい平日の朝に必要な手早くおいしいコーヒーを淹れる道具がカインズにはあります。
一杯のコーヒーでも、カインズに行けばあるもの、ハンズに行けば見つかるものがある。お客様の暮らしの中にはこのようなものが必ず存在すると思うので、カインズ、ハンズ双方の得意なところをどんどん合わせて、双方の良さを出していく、それがDIY文化の共創につながると思います。その第一歩がこの新宿店なのです」(高家氏)
新生ハンズとしてコーポレートロゴ、ブランドメッセージを刷新、フラッグシップ店となる新宿店も全館リニューアルを行った。
入り口となるハンズ2階には、まだ世に知られていないコトやモノといった「文化のタネ」を見つけ、芽として育て、暮らしの中に根付かせていくプロセスを提案する「新しい文化の芽」プロジェクトを実施するイベントスペースを設置。定期的に内容を入れ替えて展開する。
ハンズ6階は体験スペース「HANDS DO」で、ワークショップや商品を試すことができるスペースを設置。そして8階には、初の都心型店舗となるカインズが出店する。
旧東急ハンズ店舗から縮小したのはインテリア系で、強化したのはビューティー、雑貨、ペット、グリーン。2階には初となる切り花コーナーを設置し、ブーケアレンジメントサービスも開始する。
「カインズが8階に入ることでハンズとしては1フロア分の売り場が減ったことになりますが、2~7階まで、今まで倉庫だった部分を売り場に切り替えたりすることで、売り場としては10%しか減っていません」(高家氏)
2~7階のハンズでは一括で会計でき、8階のカインズはフロアで会計となる。また、カインズとハンズのポイント交換サービスがスタートし、手持ちのスマートフォンやパソコンから専用WEBサイトにアクセスするとポイント交換が可能になる。
本連載では新生ハンズのフロア情報を、「ハンズ新宿店」「カインズ ハンズ新宿店」の2回に分けて紹介する。