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AIによる「パーソナライズドマーケティング」はSNSマーケティングの次の主役になれるのか

2023.07.11PR

Z世代という言葉を生んだアメリカは、インフルエンサーマーケティングでも最先端を走る。アメリカ本国の各種SNSはパーソナライズ機能にAIの搭載を開始しており、今後日本への上陸も間近だといわれている。

松本泰輔さんCoast to Coast 代表取締役
松本泰輔さん
Coast to Coast Marketing Services代表。AEとして代理店に10年間勤務後1995年渡米。アメリカ東海岸を拠点にマーケティング分野について幅広く取材・執筆する。

パーソナル情報のAI分析でジャストミート広告が直撃

 マーケティング大国・アメリカのSNSマーケ界では、〝AIアルゴリズム〟を使うことにより、ユーザーが欲しい商品の広告を高精度で届ける「パーソナライズドマーケティング」が急拡大している。

「現在、TikTokを筆頭にSNSのインフルエンス体制は盤石です。特にTikTokは35歳以上のダウンロード数が最も伸長しているといわれ、SNSマーケティングの中でも優位性が高くなっています。今後はペイメントまでTikTok内で完結するeコマースを目指すとの予測もあり、当面はTikTok中心に進んでいくでしょう」と、北米を拠点にマーケティングの調査を行なう松本泰輔さんはアメリカのSNSマーケ事情について説明する。

 AIを活用した「パーソナライズドマーケティング」の強みは、ユーザーの行動パターンや、趣味、家族構成といった、今までのWeb検索情報だけでは取得できなかった、個人に一歩踏み込んだデータ反映ができることだ。

「AIを用いることで、家族構成と趣味を掛け合わせたクルマ広告や、ランチタイムに合わせて勤務先付近のレストラン広告を出すなど、個人に最適化された情報のピンポイント配信が可能になりました」(松本さん)。最新のソーシャルアド調査では売り上げが10〜20%も上昇したというデータもあり、主要SNSはAIデータの活用やミームに躍起になっているという。

 一方で、商品をPRする側にも変化がある。これまでSNSマーケの中心だった100万人以上のフォロワーを持つトップインフルエンサーに代わり、ジャンルを絞って情報を配信するフォロワー数1万~5万人のマイクロインフルエンサーが注目されている。

「フォロワー数は少ないものの、固定ファンがついているためエンゲージメント率がとても高いのが特徴です。彼らの推奨する商品を8〜9割のフォロワーが購入するとも試算され、顧客の92%が、広告や有名人よりもマイクロインフルエンサーを信頼しているともいわれています」(松本さん)

 また、今年3月にはTikTokで、インフルエンサーが商品を否定する意味のハッシュタグ「#de
iInfluencing」(反インフルエンス)がトレンドになった。これらは「SNSにおける透明性や信頼性に疑問を感じる消費者が増えたから」と松本さんは考察する。

「これまでTikTokではインフルエンサーが紹介する商品を妄信的に購入する消費者が多くいました。しかし、昨年#tiktokmademebuyit(TikTokに買わされた)というハッシュタグがトレンド化し、その結果疑わしいと思われたインフルエンサーは軒並みフォロワー数を減少させることに。これに対抗して信頼を取り戻そうとするインフルエンサーが『良くないものは良くないと言おう』という忖度のない姿勢を示す#deiInfluencingの投稿をし、これがZ世代にウケています」(松本さん)

 ユーザーが信頼性と透明性を重視してインフルエンサーや商品を判断するスタイルは、今後日本でも拡大していきそうだ。

2022~2023年における米国TikTokミームを読み解く

TikTok

米国TikTokミーム

米国TikTokミーム

「#tiktokmademebuyit」という日本で言う「TikTok売れ」現象は昨年のアメリカでも顕著になった。しかし今年に入り「これは買わないほうがいい」という#deinfluencingがトレンド化した。「この正直さがいいという感覚は日本でも醸成されていると思います」(松本さん)。

AIのディープフェイクから生まれたマーケティング事例も

フェイクの多いAIアプリを使った動画はアメリカでも賛否を呼んでいるが、大バズりしたのが、クリエイターが作った架空ピザ店の広告「Pepperoni Hug Spot」。レトロな映像とコミカルなキモさが多くの人を引きつけた。それに目をつけた「ピザハット」は登場したピザを再現して販売。Z世代を中心にヒットした。

ディープフェイク

SNSマーケティング

取材・文/安藤政弘

 

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