ハンドル保持にはある程度の腕力が要るクルマ
1速にシフトし、クラッチをミートさせてスタート。ハンドルの向こう側にあるエンジン回転計は9000回転スケールで、7000回転からレッドゾーンに設定されている。3気筒DOHCエンジンは3000回転をオーバーしたあたりから音が大きくなり始める。5000回転をポイントに各ギアで加速を試す。1速25km/h、2速40km/h、3速60km/h、4速で95km/hに達する。エンジン回転の上昇スピードが早く、ドライバーは忙しくクラッチとシフトを操らなければならない。100km/h巡航は5速3700回転、4速では5200回転になる。この速度でのロングドライブはタフでなければつらいかもしれない。
一方で、低回転での動きだが、トルクは1800回転あたりからアクセルレスポンスがある。60km/hが5速2200回転なので、街中でも5速ギアは十分に使える。エンジン音は3000回転あたりから大きめになるが、マニュアルミッションのギアノイズは2000回転あたりから高まってくる。
ハンドリングと乗り心地だが、操舵力は直進性が強く、低速域では切り込む時に抵抗がある。カーブでも切り込むと、戻しが強く、重めだ。全体にハンドル保持に力を必要とする。ある程度の腕力が要るクルマだ。
乗り心地も低速では硬さや上下動のキツさは少ない。中・高速では上下動が発生するが進路を乱されるほどの動きではなく、これなら長時間のドライブも耐えられそうだ。タイヤはBSの「デューラーH/L」175/80R16を装着していた。
リアシートはフロントドアから乗り込む。着座位置はやや高め。ヘッドスペースは身長170cmクラスがギリギリ。足元はツマ先がフロントシート下に入るが、広くはない。背もたれはリクライニングする。前に倒せば床面とほぼフラットになる。
右ヒンジのリアゲートは開けても荷物スペースはほとんどない。2分の1ずつ倒せる後席スペースが荷室だ。試乗して、AT車との比較だが、街乗りが中心ならAT車。MT車はマニアックな「ジムニー」ファンのためのホビーカーというのが印象だ。
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文/石川真禧照 撮影/萩原文博