会話型AI(人工知能)サービスや画像生成AIサービスなど、生成系AIの技術が急速に進歩し、世間を賑わせている。膨大なデータを学習した生成AIを活用して文章や画像、デザインなどを新たに創造するサービスは、これまでのビジネスの常識を覆すほどの効果があると言われ、導入を本格的に検討する企業が急増している。
企業には、生成AIを含めてデータとデジタル技術を活用して自社の製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、競争力を高めるDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが求められる。しかし、日本の国際的なデジタル競争力は低下が続いており、官民においてデジタル分野への取り組みは喫緊の課題となっている。
そんな中、帝国データバンクでは、「企業のDXへの取り組みに関する動向調査」を実施し、その結果を発表した。
本調査は民間企業のDX利用実態を把握すべく、DXへの対応状況について個別にヒアリングできている12万5,242社を自社データベースから抽出、そのうちDXに対応していると回答した企業2万548社を分析対象としたものだ。売り上げ規模や従業員数、主な業種のほか、人手不足下における対応状況について調査・集計している。
なお、本調査での「DX」はペーパーレス化やIT化などの対応等、DXに向けた準備段階のものを含んでいる。
DXへの取り組み、売り上げが大きくなるほど進むが、「100億円以上」でも半数
DXへの取り組み状況について、「すでに対応している」企業は全体で16.4%となった。そのうち、専門部署を置いている企業は3.5%にとどまっている。
「すでに対応している」企業の割合を売り上げ規模別にみると、売上高が「100億円以上」では50.0%と半数にのぼった。そのうち専門部署を置く企業は19.8%で、他の売り上げ規模と比較して10ポイント以上高い。
以下、「50億~100億円未満」(33.6%)、「30億~50億円未満」(27.3%)、「10億~30億円未満」(19.7%)、「10億円未満」(9.1%)と続いており、売り上げ規模が小さくなるほどDXへの取り組みが進んでいない状況がうかがえる。
従業員数「1001人以上」では3分の2がすでに対応も、「20人以下」は1割に届かず
DXへ「すでに対応している」企業の割合を従業員数別にみると、「1001人以上」の大企業では65.4%と企業の約3分の2にのぼった。そのうち、専門部署がある企業は38.4%、専門部署がない企業は27.0%となり、前者が後者を10ポイント以上上回った。
また、「301人~1000人」では49.5%がすでに対応しているものの、専門部署を設置している企業は18.7%にとどまり、専門部署を置く割合は「1001人以上」と比べると半減している。
以下、「101人~300人」(35.4%)、「51人~100人」(25.7%)、「21人~50人」(17.4%)、「6人~20人」(9.9%)、「5人以下」(5.5%)となり、従業員数が多いほど対応が進んでいる傾向がみられた。
「銀行」は8割以上で対応済、商社や通信、情報サービス関連業種も上位に
DXへ「すでに対応している」企業を主な業種別にみると、「銀行」が82.1%と突出して高かった。そのうち、専門部署があるのは66.3%、専門部署がないのは15.8%となり、3社に2社で専門部署を設置している。
次いで、総合商社や貿易商社などを含む「各種商品卸売業(従業者が常時100人以上のもの)」が61.3%となった。以下、「民間放送業」(57.1%)、「国内・国際電気通信業」(53.0%)、「高等教育機関」(49.5%)、「ソフトウェア業」(48.4%)が続いた。