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吉田直樹プロデューサーが語る「ファイナルファンタジーXVI」のアクションバトルシステムへのこだわり

2023.07.09

FF16

『FF16』は〝シリーズ初の本格アクションRPG〟を銘打っている。これまでとは異なるバトルシステムを導入した狙いとは何か? それを実装するうえでどんなことに注力したのか? 前出の吉田プロデューサーに話を伺いながら、アクションの概要とともに各種サポートシステムを解説しよう。

『FF』シリーズ初!リアルタイムバトルで本格アクションをじっくり満喫できる

FF16

近接戦用の「攻撃」や遠距離戦用の「魔法」とともに、召喚獣の力を借りた攻撃「召喚獣アビリティ」を行なえるのが特徴。最大3体の召喚獣を選んでセットでき、召喚獣ごとに使える技が異なる。一度発動すると再び使えるまでには一定時間の経過が必要。ほかの召喚獣アビリティや通常攻撃、魔法を組み合わせて戦うことが重要だ。一部の敵はHPゲージ下のウィルゲージを削り切れば動きを一時的に止めて大ダメージを与える機会が生まれる。

アクションに不慣れでもOK!オートドッジ&スロー機能で攻撃を回避できる

FF16

アクションはほどほどに物語を楽しみたい人向けの「ストーリーフォーカスモード」では攻撃や回避の操作を補助する「サポートアクセサリ」を用意。「《オートドッジ》の指輪」を装着すると攻撃を自動で回避できる。「《オートスロー》の指輪」を装備すれば攻撃が来た瞬間に時の流れが遅くなり、回避しやすい。

攻撃もラクラク!新機能の召喚獣アクションがボタンひとつで発動する

FF16

「《オートアタック》の指輪」を装備すれば、複数のボタンを駆使して発動する多彩なアクションが、□ボタンを連打するだけで繰り出せるようになる。簡単操作で爽快なバトルを楽しもう。

パーティやバディ(トルガル)はクライヴと一緒に戦ってくれる心強い存在

FF16

戦闘ではクライヴのバディとして、狼のトルガルが参加。指示のコマンドに合わせて、回復や攻撃、突進を繰り出す仕組み。バトルをより戦略的に楽しめる。「《オートトルガル》の指輪」を装着することで、トルガルに指示する各種コマンドの自動化も可能だ。

FF16

物語の中で出会った仲間が戦闘に参加してくれるのも特徴だ。パーティのメンバーはゲームシステムによるAIのオートサポートで、プレイヤーは操作しない。物語の進行に応じてメンバーが入れ替わるとのこと。どんな仲間が参加するのかはお楽しみ。

バトルシステムで注力したのはアクションを〝やり込める〟要素と〝サポートする〟要素の両立でした

──本格アクションRPGではあるものの、初心者向けのサポート機能が手厚い印象を受けます。

吉田 初心者向けという意識はなく、あらゆる人が物語を楽しめるゲームにしたいと考えました。『ファイナルファンタジー』といえば、ターン制をベースとしつつ、コマンドバトルでありながら、様々な進化を遂げてきた作品です。改めて今の時代、そしてこれからも世界市場を相手に挑戦していく作品とするのであれば、今作は本気のアクションにチャレンジしようと考えました。一方、従来のコマンドバトルとしての『ファイナルファンタジー』が好きだった人に「向いてない」と思わせてはダメだと思うのです。「アクションが苦手」「ターンベースだったからこそ遊んでいた」という人たちに、それでも本作を手に取ってもらえた時、ストーリーを120%楽しんでいただけるようにする。これは僕たちがリアルタイムアクションバトルを採用するという選択を取ったことに対する責任だと思いました。映画館に行けば、誰でも簡単に大作映画を観ることができます。それくらい気軽な感覚で物語を楽しめるようにする。なおかつ、アクションゲームが好きなヘビーユーザーにもやりごたえのある作品を目指しました。

──あくまでもストーリーを楽しむためのアクションなんですね。

吉田 今回はアクション主体の作品ではありますが、RPGという部分は大切にしています。『ファイナルファンタジー』は最高の物語があってこそのゲームだと思っているからです。前作『FF15』では、多くのゲーマーに遊んでいただきました。良い感想をたくさんいただきましたが、それと同時にダウンロードコンテンツの一部を世に出せなかったことなども含め、ストーリーに対するネガティブな反応も少なくありませんでした。今作ではパッケージ1本でストーリーを最大限に楽しんでもらえることを、シリーズの最新作としてキチンと証明したい。これは我々のミッションだと思っています。そのためには脚本がおもしろいことが必須条件で、今回はかなりそこに振り切りました。しかも、ただ観るだけではなく、その手でストーリーを動かすことができる。まさに主人公になって、物語を切り拓く体験を味わっていただくのが、今作の狙いになっています。

──アクションのシステム作りで注力した点は何でしょうか?

吉田 ゲーム起動時に難易度選択を設けるのだけは避けたい、と開発チームにお願いしました。僕はゲーマーのつもりでいるのですが、そのプライドがゆえに「イージー」の選択肢が選べないのです(笑)。でも、何度かゲームオーバーが続くと「そろそろイージーを選びませんか?」と問われている気分になる。そうなると冷めるんです……。『FF16』をプレイするために『PS5』を購入する方がいらっしゃるはずだからこそ、敵の強さを変更するというシステム以外でのアプローチを目指しました。そこでストーリーを満喫したいのか。またはアクションもやり込んで極めたいのか。いずれかをプレイスタイルに合わせて自由に選べるようにしたいと考えました。たどり着いたのが「サポートアクセサリ」によって「難易度を変えるのではなく、遊び方を選ぶ」という思想です。〝アクションが苦手〟というのは漠然としたキーワードで、アクションの何が苦手なのかを知ることが重要だと考えました。そこから「敵の攻撃を避けるのが苦手なのか」「強いワザを繰り出すのが苦手なのか」「夢中になりすぎて回復を忘れてしまうのか」というような、人によって違う具体的な苦手のポイントを補えるシステムにたどり着いたんです。システムの発想や開発、そして調整はコンバットディレクターの鈴木良太が中心となって、多くのスタッフががんばってくれました。得意なところは自分でがんばる楽しさを覚えつつ、苦手なところだけをサポート機能でアシストしてもらう。このことにより、実は苦手だと思い込んでいたアクションを思いのほか楽しめて、それがゲームとしての楽しさにつながってくれることを期待しています。

吉田直樹さん

取材・文/桑元康平 撮影/干川 修 © 2023 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

※本記事は、雑誌「DIME」8月号に掲載されたものを転載しております。

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※電子版には付録は同梱されません。

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構成/DIME編集部

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