『ファイナルファンタジー』シリーズの魅力といえば、ドラマチックなストーリー展開が挙げられる。新作『ファイナルファンタジーXVI』(以下『FF16』)ではどんな物語が待ち受けているのか。舞台となる大地「ヴァリスゼア」をはじめとする各種設定の概要について、吉田直樹プロデューサーの話をもとに紐解いていこう。
クリエイティブディレクターの地理的な視点から構築されたリアルな舞台設定
『FF16』のクリエイティブディレクターを担当する前廣和豊さんによれば、ゲームのシナリオを作る際には、まず舞台となる「ヴァリスゼア」の世界地図を描くことから始めたという。山に沿うようにして川は流れており、そこには森や草原が存在し、文明が起こって街が生まれ、やがて国へと発展していく……。こうした思考を積み重ね、まずは4000年程度の歴史を作ったうえで、ゲームをプレイする点に至るまでの時代経過や、ゲーム本編における主人公たちの物語などが緻密に考えられたそうだ。主要な登場人物はもちろん、村人や街に置かれた何気ない樽のひとつに至るまで、説得力を持たせられるようなものになっている。
舞台となる大地・ヴァリスゼアは『FF』ファンに親しみの深いクリスタルが中心の世界
西に「風の大陸」、東に「灰の大陸」があるヴァリスゼアには、各地に点在するマザークリスタルから発生する大量のエーテルが満ちている。人々はそれを資源として魔法を使い、文明を発展させてきた。プレイを開始する時点ではマザークリスタルから放出されるエーテルが徐々に枯渇。周辺には〝黒の一帯〟が広がりを見せており、限られた資源をめぐって国同士による争いが絶えない状況に。
各国のドミナントは『FF』シリーズで人気の召喚獣を宿す能力を備える
炎や氷といった属性を持つ召喚獣は、一国を滅ぼすほどの危険な存在として描かれる。その身に召喚獣を宿す者は「ドミナント」と呼ばれ、王国貴族としての立場の者もいれば、兵器として戦争に駆り出される者もいるなど、国によって扱いは様々。戦争の抑止力として各国が召喚獣を保有しているが、エーテルが枯渇しつつある中、その歯止めは利かなくなりつつある。
ドミナントたちが所属する5つの国と自治領
ロザリア公国
ヴァリスゼア中西部に位置する公国。マザークリスタル「ドレイクブレス」がもたらすエーテルで繁栄している。召喚獣「フェニックス」のドミナントを保有する。
ザンブレク皇国
宗教国家であり、皇都オリフレムはマザークリスタル「ドレイクヘッド」の眼下に位置する。国が所有する召喚獣は「バハムート」で、ドミナントのディオンは皇子。
ウォールード王国
マザークリスタル「ドレイクスパイン」と強大な軍事力を保有。オークなど亜人種との戦いを平定した国王のバルナバスは闇の召喚獣「オーディン」のドミナント。
ダルメキア共和国
マザークリスタル「ドレイクファング」が山脈全体と一体化する同国は5つの州による共和国が統治。土の召喚獣「タイタン」のドミナントは、評議会への提言役を担う。
鉄王国
クリスタルを崇めるクリスタル正教の総本山。マザークリスタル「ドレイクブレス」をめぐりロザリア公国と対立。ドミナントは忌まわしき存在という扱い。
クリスタル自治領
世界最大のマザークリスタル「ドレイクテイル」を有する自治領。膨大なエーテルを各国に共有し、不可侵条約が制定されている。ドミナントを有していない。