5月30日、日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(以下本文、三菱ふそうTB)が経営統合に向けた基本合意書を締結したと発表した。
それぞれの親会社であるトヨタ自動車やダイムラー・トラックも巻き込んだ、トラックメーカーの大型統合だ。トヨタとダイムラーが合同で持ち株会社を設立し、2社をその完全子会社とするスキームで、2024年中の統合を目指すとしている。こうした統合がサプライチェーン企業の動向にどう影響するか注目される。
帝国データバンクはこのほど、保有する「商流圏~売上高依存度推計データ」をもとに、日野自動車および三菱ふそうTBの各社に対し、部品などのモノ・サービスを提供する周辺産業(商流圏)の特徴や取引規模を2022年時点のデータを基準に推計し、その結果を発表した。
サプライチェーン企業の概要分析
日野自動車
日野自動車向け取引が売上の1%以上を占める「サプライチェーン企業」は、国内に5,525社。サプライチェーン企業にもたらす売上高(頂点企業である日野自動車に由来する売上依存額)合計は推計9,849億円になることが分かった。
階層別に見ると、一次取引先(Tier1)企業は682社あり、自社売上高への依存度の平均は12.4%、もたらす売上高は7,291億円と全体の74.0%を占める。一方で、社数が最も多いのは二次取引先(Tier2)で3,485社。平均依存度は4.3%と下がり、もたらす売上高は2,404億円とTier1の3分の1程度となっている。なお、三菱ふそうTBのサプライチェーンにも属する企業は1,251社。
サプライチェーン企業の属性を分析すると、地域別では「関東」(2,273社、構成比43.9%)が最も多く、次いで「中部」(1,426社)、「近畿」(578社)となっている。
売上規模別では、「1億~5億円未満」(1,965社、構成比38.3%)が最も多かった。
三菱ふそうトラック・バス
三菱ふそうTB向け取引が自社売上の1%以上を占める「サプライチェーン企業」は、国内に4,249社。サプライチェーン企業にもたらす売上高合計は推計4,411億円になることがわかった。
階層別に見ると、一次取引先(Tier1)企業は1,438社あり、自社売上高への依存度の平均は12.5%、もたらす売上高は3,514億円と全体の79.7%を占める。二次取引先(Tier2)は2,278社あり、平均依存度は4.2%で、もたらす売上高は842億円。日野自動車と比べTier1の社数が多くなっている。
サプライチェーン企業の属性を分析すると、地域別では「関東」(1,771社、構成比44.3%)が最も多く、次いで「中部」(617社)、「近畿」(413社)となっている。日野自動車と比べると、「北海道」「中国」「九州」といった地方圏にサプライチェーン企業が多い。
売上規模別では、日野自動車と同様に「1億~5億円未満」(1,735社、構成比44.2%)が最も多かった。