ある一定の世代になると、ペットと一緒に過ごすこと自体に不安をおぼえるが…
私事ではあるが先日、後期高齢者で一人暮らしをしている親族が自宅玄関先で転倒し、近所の方が呼んだ救急車で搬送されるという事態に直面した。
さいわい骨折などには至らなかったが、これも一つの区切りとしてこの親戚はグループホームに入居することを決断することに……この際に気がかりだったのが、親戚が長年飼育している亀の存在。
「大事に育ててきた亀なので今更どこかに引き取ってもらうのも心配」というので、結局筆者が引き取ることにした。
このように、ペットと暮らす高齢者にとっては、いざとなった際にもその処遇で気を揉まれる形になりがちだ。
そこで今回は、近々オープンとなるペット共生型のグループホームの話をしてきたい。
大阪府大阪市住之江区で新たに、社会医療法人の三宝会が運営するグループホーム「中加賀屋3丁目のつるさんかめさんとみんなの家」が令和5年7月1日にオープンとなる。
この施設の大きな特徴。それは文字通り自分のペットを伴って入所できるという点にある。
なぜこうした施設を開設したのか。その理由について、社会医療法人三宝会・グループホーム統括管理者の木村さんにお話をうかがった。
三宝会がペットとの共生の大切さを知ったきっかけは、1頭のダックスフンドだった
松本 先般、社会医療法人三宝会さまの認知症対応型グループホーム「中加賀屋3丁目のつるさんかめさんとみんなの家」オープンについてのプレスリリースを拝見させていただきました。
こちらのグループホームでは、これまで家族として一緒に暮らしてきたペットも入居が可能とアナウンスされております。
さらに、三宝会さまは既にペットと暮らせるグループホームを運営している実績もあると伺っております。
はじめに、何故ペットと入居が可能な介護施設の運営を決意したのか。その経緯をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?
木村さん グループホームの母体である南港病院に入院される患者様がダックスフンドを飼われていて、入院をためらった際にそのワンちゃんをグループホームでお預かりした事がきっかけです。グループホームでは、そのワンちゃんが倦怠感を訴える入居者様の活力になり、朝の目覚めが良くなるなど良い影響がある事が分かりました。
その後、ペットの事が心配でご入居出来ないという方のお声を聴き、ペットと暮らせるグループホームを開設する事になりました。
また、関連施設の特別養護老人ホーム加賀屋の森では、平成30年より動物と共生をしています。こちらは保護犬、保護猫の受け入れをしています。
今では法人の施設全体で犬が7匹、猫が9匹、ウサギ2匹が一緒に暮らしています。
グループホームは入居様のご自宅です。
今まで一緒に暮らしてきたペットとともに過ごしていただける環境を整えました。
食堂併設で、入居後も家族と食卓を囲める機会を維持できるのも嬉しい
松本 間もなくオープンとなります「中加賀屋3丁目のつるさんかめさんとみんなの家」では、1階に「健康‐野菜研究所 めばえキッチン」という食堂が併設となるのも目新しく感じました。
プレスリリースでは入居する方々と、そのご家族の面会の場としても活用出来ると聞きました。
(オープン前にプレスリリースで公開された、めばえキッチン内イメージ画像)
一度グループホームに入居してしまうと、ご家族の方との定期的な面会は可能でも、意外と一緒に食事をする機会がなくなってしまうという話もよく聞きます。
こちらの食堂では、入居者さまとそのご家族が食事を摂りながら歓談するといったことは可能なのでしょうか?
木村さん めばえキッチンは、入居者様とご家族の憩いの場としても活用して頂きたいと考えています。
ランチをお召し上がり頂きながらご家族とゆっくりお寛ぎ頂き、笑顔溢れる場になれば良いなと思います(※面会は予約制、感染症などの拡大により中止する場合があります)。
(めばえキッチンで提供予定のメニュー例。彩りが目にも楽しく、美味しそう!)
めばえキッチンでご提供するメニューは、管理栄養士が食を通して元気になって欲しいという願いを込めて、食材、特に野菜に拘りタンパク質やミネラルなどの栄養もしっかり摂れるお料理を提供します。
また、店内には薪ストーブを常設し、火の温もりで癒しの空間をご提供します。