ローランドは、フル・アナログ回路による温かく包み込まれるようなディレイ・サウンドと、CPUを駆使した多彩なサウンド・バリエーション、さらに高い汎用性を備えたボス(BOSS)ブランドのディレイ・マシンとして「DM-101」を2023年7月15日より発売を開始する。本体サイズは幅192×奥行き133×高さ52mm、830g。
価格はオープン価格。予想実勢価格は約6万3000円(税込)。
多彩なディレイ・サウンドを作り出す12のモード
1970年代に登場した「アナログ・ディレイ」は、BBDと呼ばれる電子部品を採用することで、入力されたサウンドを繰り返し再生するエフェクターだ。
そのディレイ・サウンドは、高域が抑えられ、わずかに歪みが加わった温かみのある特徴的なものになる。
今回発売するDM-101は、8つのBBDを用いたフル・アナログの回路による12のモードを搭載。多彩かつ特徴的なアナログ・ディレイ・サウンドを再現している。
また、「INTENSITY」コントロールを一定以上に設定することで、それぞれのモードの特性を生かした「発振効果」を得ることができる。
音質へのこだわり
「アナログ・ディレイ」は、同一ディレイ・タイムで比較した場合、使用するBBDの数によって、ディレイ・サウンドの飽和感や高域の伸びやかさに差が生まれる。
「DM-101」は、8つのBBDと緻密なチューニングを施した周辺回路の組み合わせにより、12のモードごとにディレイ・サウンドを最適化。高い汎用性を備えつつ、こだわりぬかれたアナログ・ディレイ・サウンドを実現している。
アナログ・サウンドをデジタルで制御
DM-101は、フル・アナログで構築されたディレイ回路をCPUによるデジタル方式で制御している。
例えば「VINTAGE」、「MODERN」モードでは、BBDの数量やフィルターなどをコントロールすることで、特徴のあるディレイ・サウンドを実現。「PAN」、「DUAL MOD」モードでは、BBDの接続(直列もしくは並列)の変更や、それぞれのBBDへ異なるクロック信号を送信することで、多彩なステレオ・サウンドを実現している。
また、ダイレクト音とエフェクト音の個別出力にも対応。エフェクト音のみを出力するダイレクト・ミュート機能により、PA機器の外部エフェクトとしても活躍する。
高い汎用性
DM-101は、現代のギタリストに求められる高い汎用性を備えている。タップ・テンポ機能により、演奏する曲に合わせたディレイ・タイムを即座に設定することも可能だ(※1)。
さらに、リズミカルなディレイ・サウンドを簡単に得ることができる「タップ・ディビジョン」機能を搭載。メモリー数は本体に4つ、さらにMIDI経由で127個への拡張にも対応。
また、エフェクトをOFFに切り替えた際にディレイ・サウンドを残すことができるキャリーオーバーやMIDIコントロール機能を搭載している。
※1 一部モードを除く
搭載モード一覧
・CLASSIC
アナログ・ディレイ特有の温かみを持ったサウンド。1200msまでのディレイ・タイムが設定可能だ。VARIATIONノブはモジュレーションの波形を三角波や正弦波、さらにはより複雑な波形へと変化させる。
・VINTAGE
1981年に登場した、ボスの伝統的アナログ・ディレイ・ペダル「DM-2」を彷彿させるサウンド。VARIATIONノブはモジュレーションの波形を三角波や正弦波、さらにはより複雑な波形へと変化させる。
・MODERN
アナログ・ディレイの温かさを備えつつ、高域の鮮明さを残したサウンド。最大840msのディレイ・タイムに対応する。VARIATIONノブはモジュレーションの波形を三角波や正弦波、さらにはより複雑な波形へと変化させる。
・MULTI-HEAD
BBDによるアナログ・ディレイ・サウンドを、テープ・エコーのような再生方法で楽しめるモード。VARIATIONノブで10種類のヘッド・パターンを切り替えることが可能だ。
・NON-LINEAR
ディレイ音の音量が徐々に大きくなるアナログ・ディレイ。最初のディレイ音のディレイ・タイムは35msから190msの間で設定できる。VARIATIONノブでは、以降に続くディレイ・サウンドの間隔を調節する。
・AMBIENCE
極めて狭い空間をシミュレートしたモードになる。VARIATIONノブで初期反射音を加えることが可能だ。
・REFLECT
リバーブのような効果が得られるステレオ対応のモード。VARIATIONノブはプリ・ディレイを40msから290msの範囲で加える。
・DOUBLING+DELAY
ショート・ディレイによるダブリングと反射音を加えることで、音に厚みを与えるステレオ・アナログ・ディレイです。VARIATIONノブは、ダブリングのディレイ・タイムを調節します。
・WIDE
OUTPUT A/Bでディレイ・タイムをずらすことで、広がりあるサウンドを提供するステレオ・アナログ・ディレイ。VARIATIONノブでOUTPUT A/Bにおけるディレイ・タイムの差を調節する。
・DUAL MOD
OUTPUT A/Bで異なる位相のモジュレーションを出力するステレオ対応のモード。VARIATIONノブはモジュレーションの位相差を調節して、最大にするとOUTPUT A/Bが逆相になる。
・PAN
異なるディレイ・タイムに設定したディレイ・サウンドを、OUTPUT A/Bに振り分けたステレオ・アナログ・ディレイ。VARIATIONノブはOUTPUT A/Bにおけるディレイ・タイムの差を調節する。
・PATTERN
リズミカルなディレイ・サウンドを生成するステレオ対応のモード。VARIATIONノブで10種類の異なるパターンを楽しむことができる。
関連情報
https://www.boss.info/jp/products/dm-101/
構成/清水眞希