各ジャンルに精通した識者たちが注目した2023年上半期のヒット商品、トレンドを分析!
今回は旅行、外食、若者文化、オーディオ、文房具、マネーの分野をピックアップ。
【旅行】シン・スタジアム
新観光スポットが地方創生を促進
4月29日の水際対策緩和によって、帰国時のワクチン接種証明書もしくはPCR検査の陰性証明書が不要になりました。また5月8日にコロナウイルスが5類に移行したことで、この夏は海外旅行、国内旅行ともに活況になると予想しています。「エスコンフィールドHOKKAIDO」(写真)は注目している観光スポットのひとつ。メジャーリーグのボールパークに出かけているような気分に浸れますし、とにかく飲食店が充実しているほか、スタジアム内で醸造した地ビールもおいしい。スタジアムを一望できるサウナも備えていますし、試合がない日でも楽しめます。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん
帝京大学理工学部航空宇宙工学科非常勤講師。テレビ出演多数。自ら国内外を巡りながら体験談を中心に雑誌・経済誌などで執筆。
【外食】ガチ中華
クオリティーの高い専門店が続々
コロナ禍で制限された海外旅行の欲求を満たすように、海外の雰囲気が味わえる専門店が続々オープン。2022年は中国本土の味つけにこだわった〝ガチ中華〟の繁盛店が目立ちました。海外旅行者の増加が予想される夏以降は、本土の料理を体験した消費者が増え、飲食店の食事やサービスにより高いクオリティーを求めるようになる。この流れはバブル景気が顕在化した1980年代後半に、国内の専門料理店のクオリティーが著しく向上した現象と似ています。下半期はより専門特化された料理店のニーズが高まるはずです。
フードサービスジャーナリスト 千葉哲幸さん
競合誌『月刊食堂』『飲食店経営』で編集長を歴任するなど外食記者歴40年。外食の歴史を語り、最新動向の取材・執筆を行なう。
【若者文化】クラブっぽ居酒屋
夜のシーンの消費がさらに活発に
外出のための消費が活発になってきています。マスク荒れが話題になった昨年はスキンケアを中心としたケア美容の消費が活発でしたが、外出頻度が増えたことでメイクアイテムの消費がメインになりました。ライフスタイルではおうち時間を豊かにしたいというニーズがある一方で、新しい夜の時間の過ごし方に注目が集まっています。夜カフェメニューとお酒が楽しめるルーフトップバーや、クラブの雰囲気を味わえる〝クラブっぽ居酒屋〟のように夜のシーンでは、お酒を飲む、公園でチルする以外の付加価値が求められています。
SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣さん
毎月200人のZ世代の男女と接する。著書『若者の「生の声」から創るSHIBUYA109式 Z世代マーケティング』(プレジデント)。
【オーディオ&ビジュアル】27型有機ELモニター
ゲーミングギアが進化の起爆剤に
音質やノイキャン性能を突き詰めた王道のワイヤレスイヤホンに対し、上半期はケースにタッチディスプレイを搭載したJBL『Tour Pro 2』など変化球的なモデルが売れています。とはいえ、下半期に注目すべきはゲーミング製品の台頭でしょう。上半期に販売を開始したLGのゲーミングモニター『UltraGear 27GR95QE-B』(写真)が、まさにそれ。これまで有機ELの27型はクリエイター向けしかありませんでしたが、シューティング系のゲーマーにとっても理想的なサイズ。今やゲーミング製品はAVの技術的進化を牽引する存在となっています。
AV評論家 折原一也さん
AV専門誌などに携わるベテランライター/AV評論家。YouTubeチャンネル「オリチャンネル」でレビュー動画も発信中。
【文房具】高級シャープペン
周辺アイテムにも高級化の波
高級文具といえば万年筆やボールペンが思い浮かびますよね? 実は今、シャープペンに高級化の波が押し寄せているんです。象徴的なのは、世界初の自動芯出し機構など最新機能を詰め込んだ高級シャープペン『クルトガ ダイブ』(写真)です。過去に2度ほど数量限定販売した商品で、いずれも即完売。当初は難しいといわれていた量産化についに成功し、今年3月に一般販売を開始しました。5500円と高額ながら品切れ店が続出。現在も予約順番待ちの状況です。ぺんてるやトンボ鉛筆など大手がこぞって新商品を投入しています。
文具ライター 納富廉邦さん
これまでに500本のボールペンをテストしてきた筆記用具の目利き。カバンにも強くトライオンと共同開発した『NOTE BAG』が人気。
【マネー】ポイ活効率化
送金コストも削減する時代に
終わりの見えない物価上昇に節約志向が高まり、ポイ活の注目度が上がっています。ただ、従来のようなチマチマとしたポイ活ではなく、同じポイント経済圏のサービスを活用するなど効率化がキーワードに。もうひとつ見過ごせないのが、銀行窓口やATMの振込手数料の値上げです。三菱UFJ銀行を皮切りに、ほかの銀行でも同様の取り組みは広がるでしょう。「ことら送金」では相手の銀行口座の番号がわからなくても、携帯電話番号やメールアドレスで手数料無料で送金でき、注目度は今後さらに高まると思います。
マネーライター 綿谷禎子さん
FinTechをメインに、スマホ決済、クレカなど多彩な記事を執筆する。生活情報サイト「All About」の通信費節約のガイドを務める。
取材・文/編集部