2023上半期ヒット商品ランキング1位を発表!新型コロナの5類引き下げ決定で幕を開けた2023年。ゴールデンウイーク明けからいよいよ引き下げが実施され、世間では脱コロナ・脱マスクのムードが高まっている。そんな中、売れる商品にも変化の兆しが。今回は、編集部員をはじめ、ライター、各ジャンルの専門家から情報を集め、上半期のヒット商品をランキング化。「先進性」「売れ行き」「話題性」の3項目を重視して順位づけした。
DIME HIT RANKING 1位
ChatGPT
ChatGPTは史上最速でユーザー1億人突破!!
時代が変わるメガトレンドの誕生
[先進性]★★☆ [売れ行き]★★☆ [話題性]★★☆
クリエイティブな作業が生成系AIによって激変
米ベンチャーOpenAIのチャット生成AI「ChatGPT」が、劇的なスピードで全世界を席巻している。2022年11月の登場から2か月で利用者は1億人を突破(※)。1億人突破までに要した期間は、「TikTok」が9か月だったことを考えると、すさまじい勢いだ。盛況ぶりは日本でも同様で、今年4月のデータによると、日本のアクセス数はアメリカ、インドに次ぐ3位。ユーザー数の多いChatGPT先進国となった。
最大の魅力は誰もが使え、ユーザーが投げかけた質問や命令に、高精度に応えてくれること。人間のような回答を即座に生成でき、まるで友人と話しているかのような自然な対話だ。業務書類の生成やビジネスのネタ出し、小説執筆のアシスト、大がかりな論文も手間なく作る有能ぶりを発揮する。
今年3月、生成精度が大幅にアップした「GPT-4」がリリースされると企業での活用も本格化。パナソニックHDやベネッセHD、大和証券が社内や一部業務で使用を始め、中央省庁では、農林水産省が、行政手続きマニュアルなどの改訂や修正に活用を開始した。
しかし、すべての国がAIに対しWelcomeではない。日本ではなぜ、いとも簡単に受け入れられたのか。IT批評家・尾原和啓さんは次のように分析する。「欧州はプライバシーにセンシティブで、法律体系的にもAIには厳しいです。一方、日本は〝鉄腕アトム〟や〝ドラえもん〟を生んだ国で、〝AIはお友達〟という意識が強く、AI導入にポジティブなことも歓迎された理由だと考えます」
ChatGPT が公開されて以降、約半年の間に、Microsoftは検索サービス「Bing」にAIのチャット機能を搭載し、Googleは生成AIを活用した「Bard」を公開した。
この生成AIバブルを受け、国内でも、ChatGPTと連携できるアプリやサービスが急増。LINEに友達登録をするだけで、ChatGPTを利用できるpiconの「AIチャットくん」は、リリース2か月で登録者数が150万人を超えた。
ChatGPTなどの生成系AIには、安全性や権利、倫理面などの問題もあるが、この革新的な利便性を知ると人はもう後戻りはできない。
OpenAIは5月にChatGPTのiOS版アプリをローンチ。普及の勢いは加速しそうだ。
※スイスの大手金融機関UBSの調査では、2023年1月時点のChatGPTの月間アクティブユーザー数は1億2300万人と推定。
【多くの企業が導入】パナソニックは9万人が社内ChatGPTを利用
パナソニックHDはChatGPTのAIエンジンをベースに「PX-GPT」を開発。生産性向上やアイデアの創出などに活用している。(写真はイメージ)
【国内のサービスも活況】1か月で130万人が登録「AIチャットくん」
LINEに友達登録するだけでChatGPTを使える手軽さでヒット。音声入力もできる。年代別利用率では50歳以上が14.5%を占める。「若い方だけではなくシニアの方も話し相手に使われているようです」(広報)
1週間で3万人登録「AIイラストくん」
イメージをテキストで伝えるだけでイラストを生成する、画像生成AI〝Stable Diffusion〟を使ったサービス。「AIチャットくん」のpiconが開発し、LINEの友達追加で使える。画像生成AIのトレンド化も確実だ。左は「人物モード」で作成したイラスト。
DIME HIT RANKING 2位
WBC売れ
経済効果は650億円
侍ジャパン優勝で日本が沸いた!
[先進性]★★☆ [売れ行き]★★☆ [話題性]★★☆
大谷&ヌートバー人気がヒット商品を生む原動力に
今年3月、日本中の目を釘付けにしたのが、野球の世界一を決める4年に1度の大イベント、「2023ワールド・ベースボール・クラシック」(以下、WBC)だ。瞬間最高視聴率は54.5%。熱狂の中心に立ったのが、日本を優勝へ導いたキーマンでもある大谷翔平選手とラーズ・ヌートバー選手だ。WBC効果によって、2人の人気は球場から場外に飛び出した。
広告モデルとして大谷選手を起用した、『コスメデコルテ』のエイジングケア美容液『リポソーム アドバンスト リペアセラム』は、「WBC決勝戦の放映終了直後、オンラインブティックでの売り上げが約2倍に急上昇しました」(コスメデコルテ・PR)。2017年から大谷翔平選手と睡眠コンディショニングサポート契約を結ぶ西川のマットレス[エアー]も「3月の売り上げが前月の約2倍に。公式サイトへのアクセスは前年比約5倍となりました」(西川・広報)とのことである。
ヌートバー選手をCMに起用したメガネのZoffでも「ヌートバー選手着用モデル」は品切れ店が続出。話題のペッパーミルパフォーマンスでペッパーミルが激売れし、浅草のかっぱ橋道具街では1万8000円の高額品がかつてない勢いで売れたと店員も驚く。WBCの双璧は、強豪揃いの商戦でもファインプレーを見せた。
〝翔平売れ〟が続々!
新規購入者数が過去最高の約3倍
コスメデコルテ『リポソーム アドバンスト リペアセラム』50ml 1万2100円
1970年誕生の高級化粧品ブランド『コスメデコルテ』のNo.1人気アイテム。「〝大谷選手の肌がきれい〟〝大谷選手と同じ美容液を使いたい〟と指名買いが増えました」(コスメデコルテ・PR)
発売以来、全国百貨店市場売り上げNo.1を維持する高級美容液。大谷選手広告起用後は男性客も増えた。
33万円の兜は9か月待ち!
甲冑工房丸武『紺糸威仏ニ枚胴』33万円(兜のみ)
大谷選手所属のエンゼルスで、ホームランを打った選手を祝うパフォーマンスに使われる鹿児島県の甲冑工房丸武の兜も売れ行きが急増。今オーダーしても納品は来年2月頃になるという。
3月の売り上げは!前月比の倍に!
西川『[エアーSX]マットレス』17万6000円~
柔軟性、硬度、高弾力性を備え、眠りの質をさらなる高みへ導くマットレス。「睡眠にこだわる大谷選手の活躍は自分に合った寝具を考えるきっかけにもなりました」(西川・広報)
〝ヌートバー効果〟も絶大!
動画の再生回数は224万回超!
Zoff『ラーズ・ヌートバー選手着用モデル』6600円~
親子共演のCMが話題に。「サインボールの当たるキャンペーンには1万7000件以上のリツイートがありました」(インターメスティック・井上晶博さん)
かっぱ橋でペッパーミルの売り上げが急上昇
ペッパーミルも激売れ。かっぱ橋道具街『キッチンワールドTDI』では「売り上げがWBC前より約15%伸びました」(広報担当者)
店では高さが60cmもあるミニバットサイズのペッパーミル(1万8000円)も取り扱う。数か月に1本しか動かない品が、WBC中に10本も売れた。(上写真はイメージ)
取材・文/安藤政弘
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年5月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
レアな付録付き!DIME最新号の特集は「2023上半期ヒット商品ランキングTOP100」「俺たちのファイナルファンタジー」「バズる技術」
特集は「2023上半期ヒット商品ランキングTOP100」と「バズる技術」「俺たちのファイナルファンタジー」。ChatGPT、WBC売れ、東急歌舞伎町タワー、ポケモン旋風、RRR、節電グッズ、おぱんちゅうさぎ、ソロ家電、風雲!たけし城、なか卯の親子丼、味なしフード and more!アフターコロナのトレンドキーワードを大公開!ビジネスのヒントが詰まった超保存版です。
■大特集 ChatGPT、WBC売れ、東急歌舞伎町タワー、ポケモン旋風、節電グッズほか
2023【上半期】ヒット商品TOP100
特別付録は、美しいグラフィックをデザインした本誌だけのプレミアムアイテム「ファイナルファンタジーXVI グラフィック扇子」!6月22日に発売されたばかりの最新RPG作品「ファイナルファンタジー XVI」のグラフィックをデザインした超レアなアイテムです。ポリエステル製の扇面は上質感たっぷり。絵柄は2種類、いずれかひとつがランダムに付いています(※)。またDIME8月号では、17ページにわたって「ファイナルファンタジー」を大特集。7年ぶりにリリースされる超大作RPGシリーズ「FF16」の魅力を徹底研究。さらに、吉田直樹プロデューサー、天野喜孝、植松伸夫、声優・内田夕夜&潘めぐみ、豪華製作陣が最新作と歴代シリーズを熱く語ります!