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パワハラ対策は証拠が命!パワハラ防止法に基づいて会社に損害賠償を請求できる10の条件

2023.06.26

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。

今回は【パワハラされた時の対処法】についてお届けします。

ザックリいえば、


パワハラの証拠を集める

上司に申告する(形の残るメールなど)

上司が何もしてくれければ、再度申告

上司が動いてくれない経過をキチンと整理しておく


これをしておけば、会社に損害賠償請求できる可能性が高まります
(会社の安全配慮義務違反ってヤツです)

Q.
パワハラ上司に請求するだけじゃダメなんですか?

A.
パワハラ上司が貧乏のときがあるんです。そんなときはお金を持ってる会社に請求するのがセオリーなのです。

パワハラ防止法がスタートしてるので、会社に対して損害賠償請求しやすくなっています。今回はパワハラ防止法についてお届けします。

パワハラって、何?

まずは10秒だけ基礎知識を。典型的なパワハラは以下の6つです(カッコの中は正式名称)


手を出す(身体的攻撃)
言葉ぜめ(精神的攻撃)
仲間はずれ(人間関係の切り離し)
無理やん…(過大な要求)
仕事を取り上げる(過少な要求)
プライベートに土足(個の侵害)


1番多いのは精神的攻撃です。

▼ パワハラ発言

以下、裁判でパワハラ認定された発言です。

・明日から来なくていい
・やる気がないなら会社を辞めろ
・俺の言うことを聞けないなら懲戒に値する
・まだ辞めないのか
・死ね
・うそつき
・給料ドロボー
・役立たず
・すべてひらがなで支持しで「できるかな?」
・腐ったミカン
・オマエの嫁、よくオマエみたいな奴と結婚したよな
・君は気持ちワルい男が好きなのか?
・営業成績が悪いって、みんな笑ってるぞ
・ぶん殴りたい
・徹底的に追い詰めるぞ

コチラの裁判例もどうぞ。経営者弁護士のパワハラ事件です。部下弁護士に「俺が怖いってことを見せてやろうじゃねぇか」「クズ、バカタレ、ボケ」などのパワハラ発言。

これらの発言は氷山の一角です。今日も凄まじい数のパワハラ発言が飛び交っていることでしょう。録音しましょう!パワハラ野郎を追い詰めるには、証拠が命です。

会社がすべき10個の義務

あなたの会社は、以下の10個のことをしていますか?


我が社は「パワハラを許しません!」と周知
「パワハラした奴を厳正に対処します」と周知
「相談窓口はココですよ」と周知
「相談者のプライバシーを守ります!」と周知
「相談しても不利益はありませんよ」と周知
相談窓口をキチンと機能させる
相談があればソッコーで事実関係を確認
パワハラが確認できたら被害者をレスキュー
パワハラが確認できたら加害者に措置をとる
再発防止策をとる


これらはパワハラ防止法および厚生労働省指針が定めている義務なんです。

会社がこれらのことをしていなければ、あなたは会社に損害賠償請求できる可能性が高まります。

順番に見ていきます。

■パワハラを許さねぇ!

会社は「我が社はパワハラはしません!」「パワハラとは〜のような行為です」と周知しないとダメなんです(周知=みんなに知らせる)

周知の方法は、たとえば以下のとおり

・就業規則や新たな規則
・社内報
・パンフレット
・社内ホームページ
・その他の資料
・研修、講習

あとは「パワハラした奴を厳正に対処します」との周知も義務づけています。

■相談窓口はココですよ

会社は「相談窓口はココですよ」と周知しなければならないんです。が、相談窓口を設けていない企業が多いですね…。特に小企業。

■プライバシーを守ります!

相談したことをパワハラ上司にバレたくない時ってありますよね。パワハラ野郎は「誰だチクった奴は!」とか大暴れしますもんね。

なので会社は「あなたのプライバシーを守ります」と周知しなければならないんです。

■相談しても不利益もありませんよ

相談した後、嫌がらせされたら、相談しにくいですよね。なので、会社は「相談しても不利益なしですよ」と周知しないとダメなんです。

相談しやすくすることが目的です。

■相談窓口をキチンと機能させよ

お飾りの窓口は許しまへんで!ってことです。

会社は、以下の動画のように、あなたのお話を丁寧に聞き取ることが求められています。

動画(厚生労働省:企業のパワハラ相談対応者の具体的な対応)

とりあえず【屁】みたいに形だけ整える企業もありますからね。そんな窓口に遭遇したときは、労働局へ駆け込みましょう。

■事実関係を確認せよ

(出典:厚生労働省)

上司が逃げてますね。女性社員がパワハラで悩んで相談してるっつーのに。「まぁまぁむにゃむにゃ」のような対応をとることは許されません。あなたがパワハラ相談をすれば、会社は速やかに事実確認をする義務があるんです。

■被害者をレスキューせよ

事実関係を確認した結果、パワハラがあった場合。会社はアナタをレスキューしなければならないんです。

レスキューの例は以下のとおり。

・あなたと加害者との関係改善に動く
・配置転換
 (あなたと加害者を引き離すため)
・加害者からあなたへ謝罪させる
・あなたの労働条件が悪くなってたらそれを戻す
・あなたのメンタルヘルスに配慮

何のレスキューもしてくれなければ、会社の安全配慮義務違反を問える可能性があります。

コチラの裁判はそんなケースです。会社に鉄槌が落とされています。

もし会社が何もしてくれない場合、会社のずさんな対応を証拠に残しておくことをオススメします(メールで催促、録音、時系列で書いたメモなど)

■加害者に措置をとれ

事実関係を確認した結果、パワハラがあったなら会社は加害者にしかるべき措置をとらなきゃダメなんです。

しかるべき措置の例は以下のとおり。

・懲戒処分を出す
・あなたと加害者との関係改善に動く
・配置転換
 (あなたと加害者を引き離すため)
・加害者からあなたへ謝罪させる

会社は、就業規則などに基づいて加害者に対して適正な処分をしなければなりません。

なので「上司を配置転換してほしいです」「上司に懲戒処分を出してほしい」

と申し入れてみましょう。

もし、会社が上司に何の措置も行わなければ、裁判官は「何の措置もとってないがな!違法!と判断する可能性が高まります。

■再発防止策をとりたまえ!

会社は、再発防止策を講じなきゃダメなんです。


厚生労働省指針 4(3)ニ
改めて職場におけるパワーハラスメントに関する方針を周知・ 啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること。なお、職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずること


太字部分のとおり、パワハラではないと判断した場合でも、会社は再発防止策を工事なければなりません。なので、パワハラちっくなことがあればとりあえず相談窓口に申し入れましょう。「パワハラではない」と判断されたとしても、「再発防止策を講じてよ」と申し入れることができます。

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