入稿直後に方針転換!
ところで、筆者がこの記事の執筆を終えて@DIME編集部に入稿したのは6月19日のことである。
その翌日、ソフトバンクの定時株主総会でこんな話が出た。他社クレカとの紐付け停止を延期するという話だ。
そこからの行動は極めて早かった。6月22日、PayPayは「一部クレジットカードの新規登録および利用停止の見直しについて」というプレスリリースを発表した。これによると、他社クレカを使った決済の停止期日を今年8月1日から2025年1月に延期する。
SNSではPayPayに対する批判が相次いでいたことはもちろん知ってはいたが、こんなに早く状況が変わるとは……。
ただ、「PayPayの変化」という話で物事を捉えれば注目点は他にもある。此度の騒動の裏側で、PayPayは「クレカを使わない地方在住者」にとってフレンドリーな仕組みを取り入れているのだ。
地方の金融機関とPayPay
日本は地方銀行と信用金庫の影響力が強い国である。
先祖代々この銀行の顧客であるということも珍しくなく、そういう人から見た三菱UFJ銀行や三井住友銀行は「利用頻度の少ないサブ口座」だったりする。PayPayが地方都市でシェアを伸ばそうと考えるなら、全国の地銀や信金との連携は欠かせない。
今年8月以降、PayPayに手数料無料でチャージできる金融機関は1,000社を超える見込みだ。これは既にPayPayがプレスリリースで発表していることだが、2022年1月時点のそれが僅か83社だったことを考えると、まさに「急拡大」である。
筆者は静岡県静岡市在住で、一族はみんな静岡市の生まれである。親も親戚も数十年に渡る静清信用金庫の顧客だ。筆者の自宅から最も距離の近いATMは静清信金のもの。そのような事情があるから、少し前までのPayPayは地方では使い勝手が良くなかったのだ。
が、それは既に過去の話。今年7月以降、全国254金庫のうち241金庫がPayPayの残高チャージに対応する。クレカを持っていない、またはクレカを所有する気のない地方在住者でもPayPayを気軽に利用できるようになったのだ
これは「他社クレカが使えなくなった」点を補完するのみならず(措置は延期になってしまったが)、むしろPayPayのユーザーを増やす起爆剤になり得るのではないか?
このあたりはあくまでも筆者の希望的観測であるが、全国の地銀・信金を取り込んだPayPayが「気兼ねなく利用できる決済手段」として不動の地位を獲得する可能性は大いにある。
【参考】
利用できるクレジットカードの変更について-PayPay
https://paypay.ne.jp/guide/card/
PayPay残高チャージ時の「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」での手数料に関するお知らせ-PayPay
https://paypay.ne.jp/notice/20230501/f-sofma/
Q.PayPayあと払いを利用したい-PayPay
https://paypay.ne.jp/help/c0205/
「PayPay」と連携し、手数料無料で残高のチャージができる金融機関が2023年8月から1,000社超に-Paypay
https://about.paypay.ne.jp/pr/20230613/02/
一部クレジットカードの新規登録および利用停止の見直しについて-PayPay
https://paypay.ne.jp/notice/20230622/f-creditcard/
※6月22日公開されたプレスリリース「一部クレジットカードの新規登録および利用停止の見直しについて」の情報を追記いたしました。
取材・文/澤田真一