スクウェア・エニックスの人気RPGシリーズ『ファイナルファンタジー』(以下『FF』)シリーズの最新作『ファイナルファンタジーXVI』(以下『FF16』)が、2023年6月22日に発売される。その名のとおり、ナンバリングタイトルとしては16作品となり、対応プラットフォームは『PlayStation 5』(以下『PS5』)を採用。これまで以上にハイエンドな映像表現を実現し、さらにゲーム内容がアクション主体になるなど、現代のプレイヤーのニーズに応えるスタイルへと進化を遂げている。今回、雑誌『DIME』2023年8月号の特集記事を制作するに当たり、本作を体験できる機会をもらった。ここでは、そのレポートをお届けしていきたい。
初の本格的なアクションバトルを採用
終焉に向かう大地「ヴァリスゼア」に加護を授ける「マザークリスタル」を巡って発生した戦乱に巻き込まれる、ロザリア公国の第一王子「クライヴ・ロズフィールド」(以下、クライヴ)が本作の主人公だ。後に世界の真相を知る彼は、戦禍の元凶となるマザークリスタルを破壊するための旅へとおもむいていく。
物語は、中世ヨーロッパの剣と魔法の世界観を想起させるもの。主人公クライヴをはじめとする主要キャラクターも、その世界にちなんだ設定がなされている。近年の『FF』シリーズにはちょっと珍しい正統派ファンタジーの世界が本作の舞台だ。
『PS5』で表現されるその世界は、どこを見ても目を奪われるほどの美しさ。フィールドを歩くと、その空気感までも感じられるようだ。クライヴ達が訪れる街や城なども緻密に作り込まれていて、ゲームのプレイ中は実際にその場所にいるような気分になるのは間違いない。
ヴァリスゼアのフィールドは、移動に制限のない箱庭状のいわゆる「オープンワールド」ではない。探索も楽しめる広大なマップが複数存在しているという。
フィールドにはモンスターが存在していて、近づくとシームレスにバトルへと突入する。プレイヤーはクライヴを操作してモンスターと戦うわけだが、相棒となる狼の「トルガル」やパーティの仲間たちは、AIが操作してくれるので、操作はクライヴに専念できるのだ。
本作は『FF』のナンバリングタイトルとしては初の本格的なアクションバトルを取り入れたことが大きな特徴となっている。これまでもアクションゲーム的な要素のあるバトルはあったが、本作ほど本格的なアクションの手触りを持つものはなかった。
武器による直接攻撃と魔法による遠距離攻撃は、ボタンを押す組み合わせによって行なえる仕組みだ。敵からの攻撃に対してタイミングよく回避をすることで「プレシジョンドッジ」が発動。回避後にすぐさま反撃することも可能だ。さらに、一部の敵にはHPとは別に「ウィルゲージ」という〝意志力〟を表す値があり、特定の攻撃を当てるとこれを削ることができる。ウィルゲージが0になった相手は一定時間「テイクダウン」の状態となるので、こちらの圧倒的に有利な状態を作り出せるなど、アクションゲームらしい臨機応変な駆け引きが楽しめるようになっている。
このバトルで大きなポイントとなるのが「召喚獣」の存在だ。本作では『FF』シリーズではおなじみとなっている召喚獣の力を宿したキャラクターが登場。主人公クライヴも召喚獣の力として「フィート」と「アビリティ」を使えるようになっている。
「フィート」は召喚獣固有の特殊アクションで「アビリティ」は一度使うと一定時間使えなくなるより強力なアクションだ。召喚獣は最大3体まで装備することができ、バトル中にこれを瞬時に切り替えることが可能。シチュエーションやプレイスタイルなどに合わせて好みの召喚獣を装備し、フィートやアビリティをバトルに組み込むことで、臨機応変な立ち回りができるのである。
ポーションなどの頻繁に使用するアイテムはバトルの中で素早く使えるよう、方向キーにショートカットとして設定できるのもポイント。従来のシリーズではコマンドで行なっていた行動も、アクションゲームの操作系として組み込まれている。
「ストーリーフォーカス」モードと「アクションフォーカス」モードの違いは?
アクション要素を強化した『FF16』だが、その一方でアクションが苦手だという人に対する手厚いフォロー備わっている点も見逃せない。
物語に没入できることを最優先する「ストーリーフォーカス」モードでは、ビギナーやアクションゲームが苦手という人に向けた「サポートアクセサリ」が最初から装備されている状態でスタートする。ボタンを連打するだけで魔法や召喚獣アビリティを交えた攻撃を実行できたり、敵から攻撃を受けた時などに自動的に時間がスローになって回避がしやすくなったりするなど、主要なアクションを半自動で行なってくれるようになるのだ。
このサポートアクセサリは5種類あり、交換や取り外しもできるので、慣れてきたら外してもいいし、苦手な敵に対して任意のものを装備して進めるのもいい。なお、アクションゲームが得意な人向けの「アクションフォーカス」モードでもサポートアクセサリは入手できるほか、ゲーム中にいつでもモード自体を変更できるなど、より多くのプレイヤーが楽しめるようになっている。
最後に、迫力の「召喚獣合戦」も紹介しておきたい。特定のキャラクター同士がバトルを繰り広げる際には、時として「召喚獣合戦」に発展することがある。
その戦いは普段のバトルとは全く異なる、映画のような迫力のカメラワークで展開され、それがゲームとして作られているのが実におもしろい。
体験したのは「イフリート対ガルーダ」のシーンで、プレイヤーは召喚獣のイフリートを操作し、直接攻撃、火球、突進といった攻撃を使い分け、ガルーダの体力を削っていくわけだが、相手も召喚獣なので簡単には倒せない。通常の戦いとは異なる駆け引きが必要になる。
普段はカットシーンとして見るようなバトルの映像にプレイヤーが介在してプレイできるのは、非常に新鮮な体験だ。このほかにも様々な召喚獣合戦が用意されており、ストーリーに準じて違ったバトルが展開するというのも楽しみなところである。
これまでとはひと味もふた味も違うゲームプレイを味わえる『FF16』。6月12日には、ゲームの序盤を2時間ほどプレイできる体験版が配信され、体験版のプレイデータは製品版に引き継ぐことができる。『PS5』ユーザーは、ぜひこの機会にプレイし、新しい『FF』体験の手応えを味わってみてほしい。
取材・文/稲元徹也
取材協力/スクウェア・エニックス
© 2023 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.
豪華付録だけじゃない!読みごたえたっぷりの「俺たちのファイナルファンタジー」大特集も必読のDIME8月号
DIME8月号では、17ページにわたって「ファイナルファンタジー」を大特集。7年ぶりにリリースされる超大作RPGシリーズ「FF16」の魅力を徹底研究。さらに、吉田直樹プロデューサー、天野喜孝、植松伸夫、声優・内田夕夜&潘めぐみ、豪華製作陣が最新作と歴代シリーズを熱く語ります!
【動画を見る】