コストパフォーマンスに優れたスマホをはじめ、タブレットやスマートバンドといったデジタル機器を展開する「OPPO(オッポ)」は、人気ミドルレンジシリーズの最新モデル「OPPO Reno9 A」を発表。直販サイトからの販売価格は4万6800円で、2023年6月22日発売予定となっています。
円安や内蔵部品の価格高騰といった影響もあり、ミドルレンジスマホという位置づけの製品であっても、6万円前後になることが珍しくない中、5万円を切る価格となったOPPO Reno9 A。どのように販売価格を抑えながら、ユーザー体験を向上させるのかが注目の端末といえます。では、気になる性能や前モデルからの差分を見ていきましょう。
前モデルより好評なデザインをブラッシュアップ! 新たにガラス素材を採用
OPPO Reno9 Aの大きな特徴の1つが、背面素材を含むデザイン性です。前モデル「OPPO Reno7 A」より採用されている、サラサラした手触りの独自加工「OPPO Glow」を継続しながら、背面素材をガラスに変更することで、より高級感のある、つややかな印象に仕上がっており、対傷性も向上。OPPO Reno7 A購入者の半数以上が、購入の決め手にデザインを上げているとのことで、新モデルでも、シリーズの強みをさらにブラッシュアップした形です。
本体カラーはムーンホワイト、ナイトブラックの2色展開。OPPO Reno Aシリーズとして、ベーシックなホワイトカラーを採用したのは初ですが、つやのある素材感と相まって、シンプルながらほかにないきれいな仕上がりになっている印象です。
また、背面のほぼ全体にOPPO Glowによる加工が施されているものの、カメラユニット周りはガラス素材がそのままむき出しになったようなデザインになっています。これは、新たにガラスを採用したことをアピールするのに加え、写真撮影の際、カメラ周辺に目線を集めやすい効果があるとのことです。
実際にOPPO Reno9 Aを手に取ると、手触りのよさに加えて、本体の薄さ、軽さも魅力的に感じます。厚みは約7.8mm、質量は約183gとなっており、比較的手の小さい筆者でも扱いやすいサイズ感になっているのが魅力的です。また、薄型ボディながら、4500mAhと必要十分なバッテリーを搭載しているのもポイントです。
メモリは8GBに容量UP! 新技術「DCE」で操作性&省電力性も向上
OPPO Reno9 Aの搭載プロセッサはSnapdragon 695 5Gで、前モデルから据え置きとなりますが、メモリは8GBに増量。また、メモリ拡張機能を使用することで、メモリを最大16GB相当まで引き上げることができます。
本製品のコンセプトが〝もっと、サクサク。もっと、ワクワク。〟であるように、オウガ・ジャパン営業推進部 プロダクトマネージャーの中川裕也氏は、「(前モデル比で)アプリの立ち上げ速度などが向上している」と話しています。
オウガ・ジャパン営業推進部 プロダクトマネージャー 中川裕也氏
また、新たにマルチタスクを行う際のリソース配分を最適化し、動作を安定させながら、省電力を向上させる「DCE(Dynamic Computing Engine)」技術を導入。メモリ容量の増加と合わせ、前モデルよりもサクサク動くようになっているとのことです。
ディスプレイ、カメラは前モデルから変更なし
OPPO Reno9 Aのディスプレイは約6.4インチ、解像度はフルHD+(2400×1080)で、最大90Hzリフレッシュレートに対応しています。
アウトカメラは広角約4800万画素、超広角約800万画素、マクロ約200万画素の3眼構成、インカメラは約1600万画素となります。
ディスプレイ、カメラ性能は前モデルより据え置き。搭載CPUに加え、辛い見方をすれば進化していないポイントともいえますが、ミドルレンジスマホを1年で機種変更するユーザーが少ないことを踏まえると、OPPO Reno9 Aは現在「OPPO Reno3 A」や「OPPO Reno5 A」を使用しているユーザーの機種変更先になると考えられます。
メモリ容量の増加やDCE技術の搭載でサクサク感も向上しているため、電話やメール、ネット検索や写真撮影といった、一般的な使用用途であれば、ある程度快適に使用できるスペックになっています。必要以上にスペックを盛るのではなく、従来モデルと変わらない販売価格に収めることに注力した形でしょう。
賛否のある部分かもしれませんが、販売価格が高騰してきている近年のスマホ市場を踏まえて考えると、他社との差別化という意味でも、〝ほどよい性能で、手の出しやすい価格〟というニーズを満たす英断ともいえるでしょう。
そのほかのスペックとしては、ストレージが128GBで、最大1TBのmicroSDXDに対応。nanoSIM(SIMカード)とeSIMの両方に対応しており、デュアルSIM運用も可能です。IPX8/IP6Xの防水防塵性能やおサイフケータイ機能、指紋認証(ディスプレイ内)と顔認証の両方に対応するなど、使用感を左右する細かな性能はしっかりとサポートしています。
OPPO Reno9 Aは誰のためのスマホ? 今後の製品ラインアップにも期待
本体素材の変更やメモリ増量など、OPPO Reno Aシリーズの特徴をしっかりと強化しながら、搭載プロセッサやカメラ機能はあえて据え置きにすることで、直販価格4万6800円と、従来の販売価格に近い値付けとなったOPPO Reno9 A。取り扱いキャリアはワイモバイルと楽天モバイルの2社となっており、一部MVNOや家電量販店、ECサイトからオープンマーケット版(SIMフリー版)の購入も可能となります。
前モデルから進化の幅が少ないのは事実であるため、OPPO Reno7 Aユーザーがすぐに乗り換えるべき端末とはいい難いですが、数年間同じスマホを使用している人、5万円以内のミドルレンジスマホを探している人にとっては、よい乗り換え先といえるかもしれません。
ただし、筆者としてはOPPOの製品ラインアップに、唯一無二の個性がやや少なくなったと感じています。
というのも、OPPOは2022年にグローバルモデルとして販売したハイエンドモデルや折りたたみスマホを日本では展開しておらず、現在はミドルレンジスマホ、エントリーモデルのみのラインアップとなっているためです。
安さやコスパ以外にも、〝OPPOならでは〟といえる特徴を持ったスマホを日本でも増やしていただきたいと、今後の展開sに期待しています。
取材・文/佐藤文彦