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2万4800円で買える米国ブランドOrbicの格安スマホ「Fun+ 4G」に勝算はあるか

2023.06.21

カメラはそこそこ、素のAndroidに近いUIは魅力か

 背面のカメラはメインカメラとマクロカメラの2つで、前者が16メガピクセル、後者が2メガピクセルだ。マクロカメラは接写ができるのがメリットだが、2メガピクセルだと、画質もたかが知れている。Fun+ 4Gのディスプレイで見るぶんには十分だが、PCなどの大画面で表示するには厳しいサイズと言えるだろう。マクロカメラはオマケと捉えれば、実質的にはシングルカメラに近い仕様だ。

カメラはデュアルだが、マクロカメラはオマケと捉えておいた方がいいだろう

 ミッドレンジ以上の端末では、ほぼ〝標準装備〟になりつつある超広角カメラがないのは、少々残念。メインカメラも写りはまずまずだが、料理を撮ると発色が薄すぎたり、やや仕上がりが暗めだったりと、性能はそこまで高いわけではない。ミッドレンジ以上の端末だと、複数の画素を束ねるピクセルビニングが当たり前になりつつあり、こうしたカメラに比べると、一段、二段、画質は劣ると言えそうだ。

Fun+ 4Gで撮った写真。料理や花は、やや色が浅め。少々暗めなのも気になった

 ユーザーインターフェイスは、かなり素のAndroidに近い。アプリのアイコンが正方形になっている点は珍しいが、通知やクイック設定パネルなどのデザインは、Pixelシリーズのそれに近い。設定メニューも同様で、Orbicならではのカスタマイズはほぼないと言ってもいいだろう。プリインストールアプリも少なく、良くも悪くもプレーンなAndroidスマホと言える。

UIは比較的プレーン。操作に戸惑うことはない一方で、個性にはやや欠けている印象も受ける

 日本法人を設立してローカライズを行っているためか、初モノながら、きちんとメニューも日本語化されている。これは、プリインストールされる「Orbic Cloud」内のメニューも含めてだ。一方で、カメラの設定で画像サイズを変更する際の表記が「16百万画素」「12百万画素」「8百万画素」となっていて、些末なことだが少々読みづらい。おそらく、「メガピクセル」を「百万画素」に置換してしまったのだと思うが、ここはカタカタか単位以外は数字でよかったような気がする。

設定メニューはきちんと日本語化されている

カメラの設定には、ややおかしな表記も残っていた

 2万円台前半のエントリーモデルとして日本市場に投入されるFun+ 4Gだが、先に述べたとおり、競合が多いだけに戦いは厳しくなりそうだ。日本では、端末購入補助の上限が2万2000円になり、それに合わせて開発されたコストパフォーマンスの高い端末が多いからだ。5Gやおサイフケータイに対応していない点は、Fun+ 4Gの弱点と言える。一方で、チップセットのパフォーマンスは高い。ソフトウエアのチューニングはまだまだ必要なように思えたが、ここを磨いていくことができれば、ベーシックなエントリーモデルとして評価されそうだ。 

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★
持ちやすさ     ★★★
ディスプレイ性能  ★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★
音楽性能      ★★★★
連携&ネットワーク ★★★
生体認証      ★★★
決済機能      ★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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