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スタートアップや個人事業主の拠点確保をバックアップするサービスの賢い活用法

2023.06.21

国は現在、スタートアップ企業の支援を加速させているが、民間企業からもさまざまなサポートサービスが生まれている。近年は森トラストや三井不動産などの不動産大手がスタートアップ支援を積極的に行っているほか、その他の企業も支援事業を行っている。

今回は、これから起業する人や起業したばかりの企業の「拠点確保」をサポートする2社の取り組みを紹介する。

1. オフィス・店舗の賃貸保証サービス「TRI-WINS(トライウインズ)」

よくスタートアップ企業に対して安価にオフィスを提供するサービスは多く見かけるが、このサービスは賃貸保証を提供するものだ。

サンフロンティア不動産株式会社の連結子会社であるSFビルサポート株式会社は、2023年2月にオフィス・店舗の賃貸保証サービス「TRI-WINS(トライウインズ)」を開始した。

スタートアップ企業や外資系企業、個人事業主は、費用や与信がネックとなりオフィスが借りられず、結果的に新たなビジネス機会の創出の妨げとなることがある。同サービスはこの問題に着目。初期費用削減や与信力で賃貸契約のハードルを下げる。

一般的な保証サービスと比較し、調査・審査、滞納保証、滞納対応、退去対応など、サービスの範囲が拡大しているのが特徴だ。

保証システムの図解

SFビルサポート株式会社の次長 増山暁泰氏は、開発背景として、「賃貸市況をみるとコロナ感染症拡大の影響で空室率が増加しており、稼働率を高める必要があります。また政府の成長戦略に掲げられているスタートアップ支援を当社が率先して行うことが、社会課題の解決と貢献につながると思い、立ち上げました」と話す。

スタートアップや外資系企業の経営・事業内容は、業歴が短く過去の実績に欠ける。また事業収益が赤字というケースも多い。貸主のビル経営者にとっては賃料を安定して支払えるかの判断がむずかしい。

そこでTRI-WINSでは、入居を希望するスタートアップ経営者の経歴や、黒字化するまでの計画と資金調達状況などを確認し、ある程度のリスクを預かり敷金で補完することを考えながら、調査・審査、契約、保証、滞納時の退去までのサポートを行う。

これにより、ビル経営者・入居者双方が抱えるリスクや課題を解決し、経済成長や社会の安定にも貢献することで、「三方良し」=Win-Win-Winとなる。これが「TRI-WINS」の名の由来だ。

今後の展望について、増山氏は「当社は、現場に密着して、調査から保証、滞納対応のすべてを網羅して行っておりますので、まずは最もお客様の多い関東圏内でTRI-WINSを市場に浸透させて行くことを優先します。将来的には大阪や名古屋、福岡といった、事業社数の多い地域に限定して広げていきたいです」と話した。

2.創業準備中・創業期の起業家向け 無料オフィス支援プログラム「FLAP」

独立系ベンチャーキャピタルの株式会社mintは、創業準備中・創業期の起業家に向け、無料オフィス支援プログラム「FLAP」を2018年7月から提供している。

レンタルオフィスの6ヶ月間に渡る無料提供や、サポートプログラムの提供などが含まれる。

東急不動産によるサポートのもと、3ヶ月に1度、年4回募集を行い、すでに20回のプログラム運営を継続。

採択企業は、渋谷のインキュベーション(※)施設「Plug and Play Shibuya powered by 東急不動産」でのオフィス支援プランと、スタートアップ向けオフィススペース「GUILD SHIBUYA」を登記住所として利用できるリモート登記プランのどちらかのプランを指定し、利用する。

※起業などをサポートするサービス・活動のこと

「Plug and Play Shibuya powered by 東急不動産」

採択企業は、創業前後のオフィス開設や登記にかかるコスト負担や、カフェ・時間貸しのレンタルスペースなどの場所を探すストレスを減らすことができる。

FLAPの開発背景について、mintのジェネラル・パートナー白川智樹氏は「創業して間もないスタートアップ企業にとっての主な費用負担である人件費とオフィス費のうち、オフィス費用負担を減らすお手伝いをすることで、起業のハードルを下げることを目指し始めました」と解説する。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるオンライン化で、一時はリモート環境での起業も増えた。しかし「創業期は絶えず状況が変化するため、リモート環境での作業は不便も多く、創業期ほど拠点を確保したいというニーズを感じています」と白川氏は言う。

●起業家ネットワーキングへの参画も

「FLAP」コミュニティ

過去のFLAP採択企業のネットワーキングに参加できるのもメリットだ。創業直後の起業家や、スタートアップ、大手IT企業、大手商社、コンサルティング企業、大学などに在籍しつつ起業準備中の人などが集まり、共にサポートしあっている。

これらのコミュニティを提供するねらいとは?

「創業まもないスタートアップは『どのコミュニティに所属しているか』で成功確率が変わると考えます。なぜなら、同世代のスタートアップと切磋琢磨によるレベルアップや、成功者からの良質なノウハウ獲得、ベンチャーキャピタルなど各種支援者とのネットワーク構築につながるからです。FLAPは良質な起業家コミュニティを提供することで、次の起業家に対しての成功確率を上げていきたいと考えています」(白川氏)

さらにベンチャーキャピタル・エンジェルなどからの資金調達を受けることも可能。mintからもすでに13社に出資を行っている。

今後の展望について、白川氏は次のように語った。

「同様のプログラムは多いですが、ニーズはあっても運営側の事情から継続がむずかしい取り組みです。その意味において、FLAPは5年継続できていることそのものに大きな価値があるため、この先も10年、20年と継続できるよう取り組んでいきます。今後、国がより一層スタートアップ支援を推進していくと思われる中で、起業の裾野を広げる一助となれるよう、さらに支援メニューを広げていきます」

スタートアップ立ち上げの最初の障壁である、拠点を構える際の関門が、紹介した2つのサービスによって開かれそうだ。今後も、さらに良質なスタートアップ支援サービスが増えていくことを期待したい。

文/石原亜香利

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