ロスチャイルド家の衰退
栄華を誇ったロスチャイルド家も永遠に繁栄し続けることはなく、やがて衰退していきます。
その大きな要因となったのが、アメリカ進出の出遅れといわれています。当時のアメリカは世界の片隅であり、資本主義の覇権国になるとはロスチャイルド家も考えなかったのでしょう。
また20世紀は「株式会社」が台頭した時代であり、企業が巨大化していくにつれて、19世紀的な国債の取引よりも企業に投資する金融取引が大きくなっていきます。こうした新たな時代の投資についての対応もロスチャイルド家は遅れをとりました。
つまり、アメリカと株式会社の台頭によって、ロスチャイルド家は輝きを失っていったのです。
おわりに
かつて世界経済を牽引する存在であったロスチャイルド家は、近代ヨーロッパの歴史において重要な役割を果たしました。その成功と衰退は金融の世界における永遠の物語として語り継がれていくことでしょう。
現在のロスチャイルド家は、ユダヤ人社会において重要な役割を果たしており、多様な慈善事業にも積極的に関与しています。
“ロスチャイルド”とは、単なる名前を超えた特別な意味を持つ存在として、今日も受け継がれているのです。
文/鈴木林太郎