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世界的な資産を築いた大富豪ロスチャイルド家の繁栄と衰退を振り返る

2023.06.25

世界的な資産家となったきっかけはナポレオン戦争とスエズ運河

ロスチャイルド家が大きく飛躍するきっかけとなったのが、ナポレオン戦争(1796-1815年)です。フランスのナポレオンによるヨーロッパの征服が進み、ドイツはフランスの占領下になり、ロスチャイルドの主人であるドイツのヴィルヘルム公は亡命せざる得なくなります。

そこで資産管理をヨーロッパ各地につながりがあるロスチャイルドに任せることになるのです。

必然的にナポレオンがまだ征服していない土地に資産を預けることになり、資産の多くをイギリスに送ることになりました。

イギリスにはマイヤーの三男であるネイサン・ロスチャイルドがおり、ネイサンはその資産を元手に証券の売買を行いました。結果的にロスチャイルドの名はイギリスの財界で知れ渡るようになり、その名声を活かして莫大な財産を築いていきます。

さらに、ナポレオンが唯一征服できない土地であったイギリスに対して経済封鎖をしていた際には、ロスチャイルド家は一丸となって連携し、密貿易をして莫大な利益を上げていきます。

こうしてナポレオン戦争が終わったあとの1825年頃には、ロスチャイルド家の総資産は1億フランに到達します。当時のフランスの中央銀行の資本金が6000万フランであったので、いかに大きな金額だったのか実感するのではないでしょうか。

イギリスのスエズ運河会社株の取得を助ける

スエズ運河とは、スエズ運河会社によって建設された19世紀の偉業のひとつです。

この運河によってアフリカの喜望峰を経由せずにヨーロッパとアジアが結ばれ、世界の海上交通を大幅に時間短縮させました。

実はイギリスは採掘事業に参加しておらず、フランスを中心にスエズ運河会社が作られました。

イギリスは世界一の開運国であり、イギリスにとってスエズ運河という貿易の大動脈をライバルのフランスに握られることは脅威でもありました。

当時は現在のような民主主義世界ではなく、帝国主義や植民地支配全盛の時代であり、フランス国内ではイギリスをスエズ運河から締め出そうとする動きもありました。そのためイギリスはスエズ運河会社の株取得を目指しており、そのチャンスが1875年に巡ってきます。

それはフランスのように大株主であったエジプトが財政悪化のため株を売却しようとしており、ロスチャイルド家からいち早く情報を握ったイギリスは、ロスチャイルド家から融資を受けてスエズ運河株を取得します。ちなみに融資額は400万ポンドといわれ、すぐに用意できるのは世界でもロスチャイルド家ぐらいしかいませんでした。

こうしてイギリス政府にも大きな貸しを作ったロスチャイルド家は、19世紀から20世紀初頭にかけて世界一の金融家となったのです。

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