アライ
肥満に悩む人にとっては朗報だ。大正製薬が開発した内臓脂肪減少薬『アライ』が厚生労働省の製造販売承認を取得し、ダイレクトOTC医薬品(日本で医療用医薬品としての発売を経ず、処方箋がなくても薬局で購入可能な市販薬)として発売されることになった。その有効成分で、脂肪吸収阻害作用を持つ「オルリスタット」を含むカプセルは、すでに70か国以上で発売中だという。
「本来、食事によって摂取された脂質は脂肪分解酵素、リパーゼの働きで体内に吸収されますが、アライの有効成分、オルリスタットは、リパーゼの活性を抑制することが可能。これにより、食事で摂取した脂質を体内にため込むことなく、排出できるのです」(大正製薬広報担当)
ただし、薬剤師による指導と情報提供を店舗にて対面で受ける「要指導医薬品」となり、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上が対象。併せて、生活習慣改善の取り組みを行なうことも条件となる。
気になる発売時期や価格は、今のところ未定。とはいえ、海外および国内の臨床試験では、有効成分なしの偽薬に比べて、約2倍の体重減少効果の報告もあり、早期の発売に期待が集まっている。
効果が検証された肥満改善薬を処方箋なし、薬局で購入できるのは画期的。ただし、肥満対策は生活習慣の改善が何より重要。生活習慣を見直すきっかけとして活用したい。
オルリスタットが、脂肪分解酵素・リパーゼの働きを阻害。脂質が体内に吸収されず排泄されることで内臓脂肪や体重の減少をもたらす。
治験薬投与約1年(52週)後の体型変化
約1年を通して行なわれた臨床試験では、内臓脂肪面積、ウエスト周囲長、体重、BMIすべてにおいて、減少効果を確認できた。
取材・文/桑原恵美子