ようやく、完全に扉が開いた。
東京の街は外国人観光客があふれ、
銀座や渋谷、六本木あたりでは外国語が飛び交っている。
混雑していて嫌だなぁと思う人もいるだろうけど、
海外旅行好きな私にとっては、
日常の中に、外国の空気感がほんのり混じっているのが楽しい。
そんな中、ついに海外ロケに行けることになった。
5年前に訪れて、会社を辞めることを決めたベトナム。
今再び同じ場所を歩いたら、何を感じるのだろうか。
自分を試してみたかった。
4月上旬のホイアンは、すでに夏の暑さだった。
街を歩いているとすぐに汗ダクになってしまい、
日陰のカフェで、氷の入ったグラスにビールを注ぐ。
市場で買い物をしたり、写真を撮ったり、船に乗ったり……
好きなように、思うままに旅をした。
地元の人たちは、目が合うと笑顔で手を振ってくれる。
こちらも自然と笑顔になる。
あの頃は、自分で自分を縛っていたのかもしれない。
ゆっくり流れていく時間や、のんびり過ごす人たちが、羨ましかった。
全然違う世界にいるように感じた。
でも今は、そうは思わない。
この地球で暮らしている仲間だと、身近に感じられた。
驚くほど、景色が違って見えた。
同じ場所に行っても、同じ旅にはならない。
だからこそ、旅はおもしろい。
どこに行くかではなく、何をするかではなく、
すべては自分の心次第なのだと、改めて気がついた。
写真は、トゥボン川で夕日を眺める私。
ピンク色の空が、美しかった。
Natsumi Uga
テレビ朝日アナウンサーを経て、2019年よりフリーとして活動。現在、『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)、自身初のラジオ番組『日本郵便 SUNDAY’S POST』(TOKYO FM/JFN)、『テンカイズ』(TBSラジオ)、MCを務める『土曜はナニする!?』(関西テレビ・フジテレビ系)などに出演中。
文/宇賀なつみ
※「宇賀なつみ 素顔のままで」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME7月号に掲載されたものです。