社畜は英語でどう訳す?
「社畜なので・・・」
日本から訪問してきたビジネスマンが呟いた。
「SHACHIKU??」
社畜なる言葉を初めて耳にした筆者。
SHACHIKUとは、長時間労働、残業、休日出勤、有給も程々に。会社に尽くすこと?…と理解した筆者は、オーマイガッと驚いてしまった。
しかし、筆者の隣にいた同僚は、「You are very hard working man/とても、ハードワーカーな方ですね」と感心している。
それに比べて、レイジー(怠けもの)なアメリカ人も多いこと…とボディジェスチャーで肩をすくめる同僚。
「一生懸命に働いてはいますけど。ちょっと違うような…」と、苦笑いをする日本からのビジネスマン。
それで、日本のSHACHIKUと呼ばれる働き人を同僚に話すことにしたのだが、当てはまる言葉が見つからない。アメリカには、”Workaholic/ワーカホリック”や“Lap Dog/ラップドッグ”(飼い主の膝の上に座るご機嫌とりの犬、または、会社の犬)といった言葉があるのだけど、それとは、ちょっと、違うような。SHACHIKUは、会社のために。会社に忠実に。会社のプロフィットのために自分の時間を割いて、我が身を削って働いている人?働かされている人?会社に縛られている人?などと説明してみることにした。
すると、
「OMG! Are you kidding me? It’s crazy!/オ〜マイガッ!冗談でしょ? 狂ってる」と目を丸くして驚く同僚。
新しい働き方“QUIET QUITTING・静かなる退職“”とは?
アメリカでは、ワークライフバランスを重視する新しい働き方“QUIET QUITTING・静かなる退職”の考え方が昨年から議論を呼んでいる。同働き方については、賛否両論はあるものの「#QUIET QUITTING」はアメリカのTikTokで390万回以上も再生されているのだ。
“QUIET QUITTING・静かなる退職”とは、会社を辞職することではなく、簡単に説明すると、給料が支払われる時間内に仕事をする。契約、または、ジョブディスクリプションに書かれた仕事はこなすけれど、自分の給料の裁量に合わない仕事、または、必要以上と思われる仕事はせずに、頑張りすぎない。会社に縛られない。給料が支払われる時間内に退社し、自分の時間を大切にすることだ。
自身のキャリアのために時間を注ぎ込む。自分のためにも一生懸命に働く。仕事に時間を費やすのは苦にはならない。仕事をする上で必要なことであると#QUITE QUITTINGの働き方に反対意見をもつ人もいるのだけれど、興味深いのは、#QUIET QUITTINGに賛同する側も反対する側も、自分の価値観、自分の時間のあり方に焦点をあてて、今、自分のためにすべきことを考えているところ。仕事が人生のすべてではなく一部に過ぎないという生き方を選択しているのだ。
給料をもらっているのだから当たり前、仕事なのだから、やって当たり前。会社の指示、マネージメントの指示に従うのは当たり前。この当たり前の常識は当たり前でないことを態度で示したのが「#QUITE QUITTING」でもあるのだ。筆者が籍を置く米企業では、組織図もなくマニュアルもなく、自主自立型組織。上下関係のないオープン・コミュニケーションの職場環境にあり、会社は従業員らがハッピーでいられるために最前を尽くしている。
毎年、会社では、従業員一人一人からのリアルな声を聞くためにも従業員サーベイが2度ほど、行われており、同サーベイでは、会社独自のサーベイツールを利用して、就業中に約1時間のサーベイ時間が設けられている。
サーベイでは、マネージメント側にいる各メンバーへ評価をすると共に、会社への希望や意見、伝えたいことがあれば、何でも記述してよいことになっている。共に働くメンバーらが互いの意見を受け入れ、お互いにとってポジティブインパクトがあるような人間関係の構築と最良の職場環境を提供、持続するのが目的だ。
実は、筆者にとって、従業員サーベイのある会社で働くのはこれが初めて。何でも正直に書きなさい。自分の意見をしっかり伝えなさい。何も書かないより何か書いた方が良いと言われたのだが、最初は、本当に何でも書いていいのか?といった不安や戸惑いもあり躊躇してしまっていた。
しかし、サーベイ後、メンバーの意見や希望が形となって現場に活かされることを実感。さらに、会社への好感度、信頼度もUP!サーベイは、職場にとってもポジティブインパクトを与える必要なツールでもあるということを知り、今となっては、良いことも、改善すべきことも、遠慮なく、何でも書くようにしている。
余分な仕事を引き受けて精神的に一杯一杯な生活をするあまり、ココロを置き去りにしてしまうと、いつか燃え尽きてしまう日が来る。
New Beginnings(新しいはじまり)
Succes(成功)
Comeback(復帰・復活)
Work-Life Balance(仕事・生活・バランス)
これらは、今年の働き方トレンドだ。
ハッピー度の高い社員が在籍している会社では、創造性が3倍ほど高く、その労働生産率は、1.3倍ほと高いとも言われている。理不尽と思えるような働き方は辞めにして、従業員の幸福度を考えた経営と従業員らが月曜日に会社に行くのが楽しいと思えるような職場の環境を整えるのも会社の役割ではないのだろうかと思う。
MAKE TIME TO ENJOY YOUR LIFE, DON’T FORGET TO PLAY♫
人生を豊かにするためにも遊ぶことを忘れないで♫
文/白井朝美
米国大学在学中にダンサーに。NYを拠点にダンサーとして活動後、多種多様な業界を渡り歩いた元・3ヶ月坊主の
ジョブホッパー。米フォーチュン500企業の最も働きやすい企業に籍を置いたのち、アメリカが選ぶ最高の雇用者と
してトップに君臨する米大手小売企業に祝・現職!ライター、ライフスタイルリサーチャー、ブランドアンバサダーとして
も活躍。ダンスとヨガとネコと自由を謳歌する自由人。https://morningbeauty917.wixsite.com/mysite