「文」は「文化」や「作文」など、日常生活の中でもよく見かける漢字の一つ。しかし、「文る」と表記されている場合の読み方や意味がわからない人も多いはず。そこで本記事では、「文る」の読み方や意味について紹介していく。最後に紹介する類語表現も機会にぜひチェックしてほしい。
「文る」とは?
はじめに、「文る」の意味と読み方について紹介する。併せて紹介する「飾る」との違いについてもチェックしておこう。
意味と読み方
「文る」の読み方は「かざる」。「ぶんる」とは読まないので注意しよう。
文るは、「模様などをつけて美しく立派に見えるようにする」あるいは「うわべを取り繕って見かけを立派にする」という意味を持つ言葉だ。また、「うわべの言葉で文った文章」など形だけの文章や言葉などを彩る際にも使われる。
「飾る」との違い
一般的に「かざる」といえば「飾る」を思い浮かべる人も多いはず。「飾る」には、「外観に手を加えて配置する」という意味がある。「テーブルを花で飾って楽しむ」「パーティのため部屋に風船を飾る」のように、見た目を彩る際に使われる言葉だ。「文る」とはニュアンスが異なることを覚えておこう。
文るの使い方
次に、「文る」の使用シーンと例文を見ていこう。先に紹介した「飾る」との違いについて正しく理解したうえで、使い方をマスターしたい。
使用シーンと例文
【反省の気持ちがない謝罪を受けた時】
「うわべだけの言葉で文った反省は聞きたくない」
【中身の伴わない祝辞を聞いた時】
「ずいぶんと字句を文った祝辞を述べる人だ」
【上司に文章がわかりづらく注意された時】
「上司から『文った文章で読者に伝わりにくい』と指摘された」
【失敗を取り繕う発言をした時】
「失敗を文っても相手を怒らせたという結果は変わらないから、注意した方が良い」
「過ちを文る」とは
「文る」を使った慣用句に「過ちを文る」という表現がある。「自分の過ちと認めず、あれやこれやと弁解してうやむやにする」という意味を持つ言葉だ。由来は、論語の「小人の過つや、必ず文る」という一節で、現代語にすると「度量や品性に欠ける人は、過失を改めようとせず、言い訳をしてごまかそうとする」となる。
【例文】
「弁解はしない方が良い。過ちを文るのはずるい」
「過ちを文ると自己の成長につながらないため注意しよう」
「過ちを文ることが最大の過ちであることに君は気づいた方が良い」
「教育者として過ちを文ることは許されないだろう」
「子供には、過ちを文るような大人になってほしくない。ごまかさずに本当のことを伝えよう」
「文る」の類語
最後に、「文る」の類語を紹介しよう。似た意味を持つ言葉はいくつか存在するが、本記事ではそのうち5つを取り上げる。
装飾
装飾とは、「飾り、美しく装うこと。また、その装いや飾り」のこと。「装」と「飾」の字には、どちらも「外側を飾ってきれいに見せる」という意味がある。
【例文】
「複雑な装飾が施されていて見どころがある展示物だ」
「誕生日を祝うため、部屋を装飾しよう」
「さすが、この店の装飾品はきれいだ」
虚飾
虚飾は、「内容を伴わない外見だけの飾り」を指す。「虚」は、「中身がない、うつろであること」を表す漢字だ。
【例文】
「彼女はプライドが高く虚飾的な性格をしている」
「虚飾に満ちた部屋で生活する」
「虚飾すれば自信のなさをごまかせる」
化粧
化粧とは、「顔に口紅をつけたり、おしろいをつけて、自分や他人に美しく見せる」こと。「粧」の字には、「顔かたちを整える」という意味がある。
【例文】
「彼女は化粧をすることが趣味のようだ」
「化粧が今日の洋服の雰囲気と合っているか、全身鏡でチェックしてみよう」
「化粧次第で気持ちや雰囲気が変わる」
見栄を張る
「見栄を張る」には、「うわべを飾り、外観を繕う」という意味がある。実際よりも相手に良く見せようとする際に使われる。
【例文】
「彼女の前では見栄を張って高級なブランド品を身につけている」
「見栄を張ることが苦しく、ありのままで過ごしたい」
「見栄を張ってもいずれはばれることだから、注意した方が良い」
気取る
気取るとは、「体裁を気にして、もったいぶったり、すましたりする様子」のこと。実際の自分よりもかっこ良く見せようとする時に使われる。あまりポジティブな意味で使われる表現ではないため、注意しよう。
また、「気取る」には、「そのものになりきって、それらしい振る舞いをする」という意味もある。どちらの意味も覚えておいて損はないはずだ。
【例文】
「気取った話し方をするから彼女のことはあまり好きではない」
「気取らない性格が彼の人気の秘訣だ」
「専門家気取りで話をしているけれど、彼はこの分野の専門家ではない」
文/編集部