経済産業省が発表した『大学発ベンチャーの実態等に関する調査』によると、大学発ベンチャー数は、毎年増加傾向にあり、2022年1月、日本政府は2022年度を「スタートアップ創立元年」と宣言するなど、昨今、スタートアップや起業に対する関心が高まっている。
そこでペンマークはこのほど、学生のスタートアップや起業に対する関心や今後の動向を明らかにすべく、同社が展開する大学生向け学習管理SNS「Penmark」を利用している現役学生を対象に「起業・スタートアップに関する意識調査」を実施し、1,397人から有効回答を得た。
起業する場合の事業形態、1位はスモールビジネスが現実的
起業を志す学生の起業する場合の事業形態は、1位「スモールビジネスをしたい(26.7%)」、2位「スタートアップとして自分で事業を起こしたい(22.1%)」、3位「企業へ就職し、社内起業したい(9.3%)」となった。
また、「起業準備中」や「すでに起業している」と回答した学生の中でも、スモールビジネスが最も高い割合を占めている。これは、実際に起業を進めている学生にとって、スモールビジネスがリスクが低く、手始めとして取り組みやすい事業形態であるからだと考えられる。
日本政府のスタートアップに対する調査によると、「大学におけるスタートアップ創出支援を行っていない」という回答は95%となっている。
今後スモールビジネスだけでなく、スタートアップとしてイノベーションを起こすような起業家を輩出するためには、大学においても積極的にスタートアップ創出・育成支援を行うとともに、学生たちが社外のスタートアップ・起業家と関わる機会を提供することが不可欠だと言えそうだ。
「兼業・副業として起業」と回答した学生からは、以下のようなコメントが寄せられた。
・コロナ禍で時間を持て余し、スモールビジネスを始めた。(東京理科大学・2年)
・YouTubeを駆使して独学でプログラミングを学び、友人とともに起業の準備をしている。(日本大学・3年)
・大学から日々膨大な量の課題が出されており、バイトでさえもなかなかできないほど時間に余裕がない。起業しており『1日中事業に専念していたい』・『手伝う人員がほしい(雇いたい)』と思っているが、思うように時間が割けず、事業をやるにしてもかなり小規模のものしかできないと感じている。(東京理科大学・2年)
起業のきっかけ、身近な人からの影響が40%
起業を志したきっかけの上位は、1位「テレビ・新聞・インターネット等からの起業に関する情報(37.0%)、2位「先輩・友人からの影響(25.2%)」、3位「大学の授業(17.9%)」という結果となった。
「身近な人」「メディア」「大学」の大きく3つに分けて見てみると、1位「身近な人からの影響(40.4%)、2位「メディアの影響(37.0%)」、3位「大学の授業等からの影響(22.5%)」に。
起業に対する興味や意欲を持つ学生にとって、メディアや身近な人の影響が大きいことが伺える。特に、大学発の企業数が増加傾向にあることからも、学生が先輩や友人に起業について相談できる環境があると言えそうだ。
一方で、大学の授業等からの影響は「身近な人」「メディア」に比べて15%差が開いており、大学における起業教育の影響力が相対的に低いことが示唆される。
実際に、「将来的に起業を考えてはいるが、起業に関する授業は受講しておらず周囲にも浸透していない。」(慶応義塾大学・3年)との意見もみられた。
経済産業省のデータでも、起業家の多くが起業するに当たり、「身の回りにいた起業家」や「同じ思いの友人」に最も強く影響を受けており、⾝近に起業家・起業マインドを持った人がいる環境が起業には重要だとしている。
大学が起業家育成のための教育や支援を充実させることが、さらなる起業家の輩出につながると考えられる。また、学生が起業に関心を持つ際に、より多様な情報源や人脈から刺激を受けることも今後重要となってきそうだ。