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世界三大投資家のひとり、ジョージ・ソロスの投資哲学を学ぶ

2023.06.17

生涯の師 カール・ポパーとの出会い

第二次世界大戦が終わり、ロンドンに渡ったソロスはLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)に入学しました。学校の授業では、のちに生涯の師と仰ぐ哲学者で教授のカール・ポパーに出会います。

なかでもポパーの著書「開かれた社会とその敵」を読んだソロスは、決定的な影響を受けます。その本の内容は、誰もが同じものを信仰する「閉じた社会」よりも、束縛されず自由な「開かれた社会」の方が「不安定だが優れている」ことに言及しており、ソロスは大きな感銘を受けたと発言しています。

ソロスは投資をする際、常に自分が間違っているのではないかと考えます。

常に自分の判断を疑うことで状況の変化に素早く反応することを心がけているのも、ポパーの「不安定の方が優れている」という考え方に触れた部分が大きいでしょう。

現実と認識のギャップ

ソロスは市場原理主義によって成立するグローバル市場を否定しており、投資家の行動によって価格が実態とかけ離れる歪みが生まれ、たびたび金融危機や価格の暴落が起きることを見抜く天才的な洞察力を持っています。

この現実と認識のギャップを利用して、これまでソロスは大きな利益を上げてきたのです。

グローバル市場を否定しながら、グローバル市場で稼ぐことは、一見すると矛盾しているようですが、ソロスのスタンスはあくまでルールの中で最大限の利益を上げることです。

社会全体がより良い方向へ向かうこと自体を否定しているわけではないのです。

ジム・ロジャーズを手を組む

ソロスはいくつかのヘッジファンドで経験を積んだあと独立し、同僚であったジム・ロジャーズと秘書の3人でソロスファンド(のちのクォンタムファンド)を設立します。

オフィスの場所はニューヨークのセントラルパーク近くであり、あえてウォール街に縛られない少し離れた場所を選んだようです。

株式売買の役割はロジャーズが企業を調査し、売買の判断はソロスが行いました。

ファンドが携わる領域は、株、債券、為替の3つを軸に、値上がり益を狙うロングと値下がり益を狙うショートを組み合わせる手法であり、ファンドはハイパフォーマンスで成長していきました。

こうしてソロスたちの活躍はウォール街でも知られ、次第に有名になっていきます。

実際、ソロスファンドは1976年に+62%、S&P500が下落した1977年でさえ+31%という高成長を記録し、1978年は+58%と順調でしたが、1979年にソロスファンドに水を差す問題がやってきます。

それは証券取引委員にファンドがあまりにもパフォーマンスが良いことから、株価操作をしているのではと疑いをかけられたことです。

結果的にソロスは肯定も否定もせず、争うことのリスクを避けて同意書に署名したことで、ロジャーズとの間に大きな溝が生まれ、1980年にロジャーズはソロスから離れていきます。

ちなみにソロスとロジャーズが組んだ約10年の間に、ファンドの規模は約31倍まで拡大する素晴らしい成長率を記録しました。

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