記録的な高温の影響で開花が早く、あっという間に満開となった今年の桜。お花見のタイミングが難しく、機を逸した人も多いかと思われるが、実際のところ、どれくらいの人がお花見を楽しんだのだろうか。また、今年特に評判の良かった桜の名所とはいったいどこか?
ウェザーニューズはこのほど、スマホアプリ「ウェザーニュース」を通して「桜の振り返り調査」を実施し、その結果を発表した。
記録的な高温で開花が早かった、9割以上が実感
2023年の桜の開花は全国的に平年より早く、気象庁が開花を発表している53地点(ソメイヨシノとエゾヤマザクラ)のうち、半数以上にあたる27地点で観測史上最も早い記録(タイ記録を含む)となった。
特に北日本や東日本ほど開花の早さが顕著で、平年より1〜2週間程度早く咲いたところもあった。九州や四国では平年並か早い開花だったものの、昨年と比べると同じくらいかやや遅い開花となった。
ウェザーニュースアプリのユーザーに開花の時期について聞いたところ、9割以上(91.0%)が「早かった」と回答した。
昨年「早かった」と回答した人は48.7%だったため、今年は昨年よりも大幅に早く感じられたことがわかる。エリア別では、近畿以北で「早かった」という回答が9割を超え、特に甲信と北陸・東北では95%以上と圧倒的だった。
九州や四国では他の地域に比べて「遅かった」の回答が多めとなり、開花の実況と同じ傾向が見られている。
桜の花芽(生長すると花になる芽)は夏に作られ、晩秋から初冬にかけて寒い冬を越すために休眠に入る。その後、真冬に一定期間、厳しい寒さにさらされると低温刺激によって休眠から目覚め(休眠打破)、開花に向けて生長が再開する。
休眠打破後は春にかけて気温が上昇するのに従って花芽が生長し、暖かくなるほど開花が早まる。
今年の冬から春にかけての気温を見ると、2月末から全国的に高温傾向となり4月中旬まで続いた。3月の平均気温は北日本と東日本で1946年の統計開始以降1位、西日本では1位タイの高温となった。
また4月の気温も北日本と東日本で平年よりかなり高く、北日本では統計開始以降1位タイの高温となった。今年はこの高温の影響で開花が早まったと考えられる。
一方九州では、桜の開花が昨年よりやや遅い地点があった。西日本では12月中旬以降、強い寒気の影響で平年より気温が低くなったが、11月や1月中旬は平年より気温が高くなった。
特に九州など低温の期間が短かったところでは休眠打破がしっかり行われなかった可能性があり、開花が少し遅くなったと考えられる。
開花からあっという間に満開へ、お花見のタイミングが難しかった
開花から満開までの平均日数は6.7日で、2022年(5.8日)よりは長くなったが、2021年(7.5日)や2020年(8.1日)よりも短くなり、高温の影響で比較的あっという間に満開になったと言える。
都道府県別に見ても、西日本と東日本の一部で昨年より時間がかかっているものの、概ね昨年並だった。
ウェザーニュースアプリのユーザーにお花見のタイミングについて聞いたところ、「ばっちり」という回答が66.2%で最も多く、次いで「見頃を過ぎていた」が25.5%、「見頃前だった」は8.3%となった。
昨年よりも「ばっちり」の回答が減少しており、「見頃を過ぎていた」と「見頃前だった」の回答が多くなっている。今年は開花日が早く、例年見頃になる時期には既に散り始めていた名所もあったことから、お花見のタイミングを逃してしまったほうが多かったようだ。
また、3月下旬は前線や低気圧の影響で太平洋側を中心に曇りや雨となり、ちょうど桜の見頃時期と重なった。このため、関東などでは「見頃になってから休日と雨の日が重なる日が多く、晴れるタイミングを待っていたら見頃が過ぎていた」という声も届いた。
見頃は平均8.1日、制限緩和でお花見回数が増加
お花見をするのに重要な桜の見頃期間について調べると、今年は全国平均で8.1日となり、昨年(8.0日)と同じくらいの長さだった。都道府県別に見ると、見頃期間は概ね6〜10日程度だったことがわかる。
見頃日数が昨年の5日間からプラス3日の8日間だった東京の気温を見てみると、満開後に一時的な寒の戻りがあったことがわかる。この寒の戻りの影響で桜の花が長持ちし、昨年よりも見頃の期間が伸びたと考えられる。
ウェザーニュースアプリのユーザーにお花見に行ったかどうかを聞くと、50.9%が「行った」と回答し、半数以上がお花見に行ったことがわかった。また、お花見に行った回数を聞いたところ、昨年は全国平均
で1.5回だったのに対し今年は3.1回に増加した。
都道府県別に見ると1位は高知県の4.1回で、2位が徳島県と大分県の4回、3位が富山県の3.9回、5位が香川県の3.8回となり、四国が多くランクインする結果となった。
今年はマスクの着用が個人の判断に委ねられるようになったり、自治体からは飲食を伴う宴会を認める発表があったりと、お花見への制限が緩和されたことに加え、桜の見頃が長かったために、お花見に行く機会も増えたのではないかと考えられる。
参考:さくらのシーズンの定義について
「さくらプロジェクト」でウェザーニュースのユーザーが見守る約1万本の桜の生長状況をもとに、以下のように定義している。
・開花シーズン:2割が開花した日
・見頃シーズン:9割が開花、3割が満開を迎えた日
・桜吹雪シーズン:散り始め+葉桜の割合が、満開+もうすぐ満開の桜の割合を上回った日
・葉桜シーズン:葉桜の割合が、散り始めの桜の割合を上回った日