日本語には「論う(あげつらう)」「準える(なぞらえる)」のように、読めそうで読めない難読漢字がある。「窘める」もその一つ。そこで本記事では、「窘める」の読み方や意味、言葉の使い方を解説する。併せて紹介する「窘める」と読み間違われることの多い「〇〇める」と送り仮名がつく言葉の読み方と意味も確認していこう。
「窘める」の読み方と意味
窘めるの読み方は「たしなめる」。ここでは、「窘める」の意味と使い方、類語などを確認していこう。
意味
「窘める」は、よくない点に対して注意を与えること、穏やかに注意し、反省を促すことを意味する言葉。また、「窘しむ」と送り仮名がついた場合は、「くるしむ」と読み、追いつめられて行きづまり、動きがとれなくなることを表す。
ちなみに「窘」の漢字の音読みは「きん」。「窘」から始まる熟語には「窘窮(きんきゅう)」や「窘迫(きんぱく)」などがある。苦しみ、困ることや敵に迫られ窮地に陥ることといった意味も持つため、この機会に覚えておきたい。
使い方と例文
窘めるは、目下の人を軽く注意するというニュアンスで使われることが一般的。
【例文】
・親戚の前で調子に乗っていた弟を軽く窘めた。
・客先の態度に問題のあった部下を窘めた。
・幼少期、机に肘をついてご飯を食べていると、母にやんわりと窘められた記憶がある。
類語と言い換え表現
「窘める」を「なだめる」と誤読する人も多いが、「なだめる」の漢字表記は「宥める」となる。怒りや不満をやわらげて静めるという意味を持つ言葉だ。「窘める」の類語表現には、ほかにも「咎める(とがめる)」「批判する」「扱き下ろす(こきおろす)」「非難する」などがある。
「窘める」と「嗜める」の違い
「窘める」と「嗜める」の読み方はどちらも「たしなめる」のため、混同しやすいが、両者の意味は大きく異なる。
「窘める」は、注意をして反省を促すことだが、「嗜める」は、好んで親しむことの意味を持つ。また、他にも芸事などに励んで習得する意味も含む。「酒を嗜む」などのように使われることが多い言葉だ。「趣味嗜好」「嗜好品」など一般的に使われている言葉からもわかるように、「嗜」という文字には、人の好みを示す意味が込められている。
「窘める」の英語表現
「窘める」を表す英語表現は“reprove”。“reprove”の後に“for”を置くことで窘める理由を述べられる。
【例文】
“He reproved me for being late.”(彼は私が遅刻したことを窘めた)
また、失敗を咎めるという意味を持つ“reproach”も窘めるの英語表現として使えるだろう。
間違いやすい「〇〇める」言葉の読み方と意味
「窘める」同様に、「〇〇める」の送り仮名を付ける言葉は多い。最後に、「める」の送り仮名が付く3つの言葉の読み方と意味を確認していこう。
諫める
「諫める」の読み方は「いさめる」。悪い点を指摘し、改めるように忠告するという意味を持つ。「窘める」は目下の人に使うのが一般的だが、一方で目上の人に注意を促す際には「諫める」を使用するとされているため使い分けに気を付けよう。
「諫」から始まる熟語には、「諫言」がある。読み方は「かんげん」で意味は「諫める」と同様。「諫言する」と動詞として使用できる言葉なので、併せて覚えておくと良いだろう。
嵌める
「嵌める」の読み方は「はめる」。「罠に嵌める」のように騙して策略にのせる意味も持つ。また、物を物理的に入れ込む、差し込む際に使う言葉。指輪や手袋、鍵などを対象に使える。
ちなみに、「嵌める」と同じような意味を持つ「填める」も「はめる」と読む。「填める」には特に「空いている部分に何かを詰め込む」の意味を持ち「銃に弾丸を填める」などと使われる。装填(そうてん)や充填(じゅうてん)といった熟語を想像すると覚えやすい。
貶める
「貶める」の読み方は「おとしめる」。人をさげすむ、見下すなどの意味を持つ。ほかにも下落させる、成り下がらせることを指す言葉だ。
「貶す」と表記すると「おとす」ではなく「けなす」と読み方が変化する。意味も「相手の悪口を言う」となり、「貶める」と同じ漢字を使っている言葉であっても意味と読み方が異なる。
文/編集部