海外旅行の快適性を左右する「データ通信問題」。インドネシアでSIMカードを買ってみたら…
海外旅行における通信問題。これは旅行が長期になればなるほど深刻な問題になっていく。
普段は日本で使用しているスマホを海外でも使う、ということは確かにできる。が、データ通信にかかる料金は決して安いものではない。従って、現地のSIMカードを購入することが最も安く上がる方法ではあるのだが、ここにもまた問題がある。
敢えて飛躍した文言を持ってくるが、我々はこのあたりで「テロリズムとの戦い」に巻き込まれているのだ。
ジャカルタを震撼させたテロ
2016年1月14日。
その時、筆者はインドネシアの首都ジャカルタのサリナ・ショッピングモールの前にいた。ここは有名な老舗デパートで、少年時代をジャカルタで過ごしたアメリカのバラク・オバマ元大統領はよくサリナへ出かけていたという。
このサリナの真正面で無差別テロ事件が発生した。
拳銃で応戦する警察官、自爆した犯人、逃げ惑う人々、それと入れ替わるように大通りへ駆け出すインドネシア陸軍の装甲車。空挺徽章を胸に着けた指揮官が、整列した兵士たちの前に立って指示を出している。
道の片隅で女性が号泣していた。が、ここは既に戦場である。うずくまって泣いていることすら許されない。彼女は陸軍の兵士に保護されていった。
市民も犠牲になったこのテロは、インドネシアの通信事情を大きく変えるきっかけになった。
それまでのインドネシアは、携帯電話のSIMカードがあらゆるところで販売されていた。「あらゆるところ」というのは、通信会社公認のショップに留まらない。
何と、SIMカードだけを売る個人経営の屋台もあった。それを購入したら、あとは端末に差し込むだけ。その瞬間から新しい番号で通信を開始できる。
これをテロリストに利用されたのだ。彼らは野放図に販売されていたSIMカードを使って、仲間と連絡を取っていた。