親しい友人と集まった時に、いつもよりもテンションが上がり、陽気な気分になることが誰しもあるだろう。「燥ぐ」は、そんな楽しさに浮かれている様子を表したい時に使える言葉だ。日常生活の中でこの漢字表記を目にする機会は少ないが、小説や歌詞に使われたり、難読漢字としてクイズに出題されることもある。そこで本記事では、「燥ぐ」の読み方や意味、類語について解説する。意外な語源についてもこの機会にチェックしてほしい。
「燥ぐ」とは?
はじめに、「燥ぐ」の読み方と意味、語源を解説する。燥ぐには大きく分けて2通りの意味があるため、どちらもしっかり覚えておきたい。
読み方と意味
「燥ぐ」の読み方は「はしゃぐ」。漢字の「燥」は音読みで「ソウ」、訓読みでは「はしゃ(ぐ)」や「かわ(く)」と読む。音読みを連想して「そうぐ」といった読み方をする人もいるが、誤読であるため注意したい。
燥ぐには「陽気に浮かれて騒いでいるような様子」と、「物が乾燥している状態」の2つの意味がある。
語源
燥ぐの語源に関しては諸説があるが、「木々や物が乾燥した状態」を指す「はしやぐ」が由来になっているという説が有力とされている。
もともと「はしゃぐ」は語源の通り「乾燥した状態」や「物が乾く」といった意味で使われていたが、時代の流れと共に言葉の意味は変化し、現在では主に「調子に乗って浮かれ騒ぐ様子」を表して使われるようになった。
なお、「はしやぐ」という言葉は、現在も一部の地域で方言として使われている。
燥ぐの類語
次に、燥ぐの類語を紹介していく。似た意味を持つ言葉は複数あるが、本記事ではその中から3つを取り上げる。
ふざける
「ふざける」は、冗談を言ったりおどけたりする様子を指す言葉だ。漢字では「巫山戯る」と書く。ちなみに、この漢字は当て字だといわれている。例えば、重要な場面で面白半分に発言した相手に対して、「ふざけてはいけない」と注意することもできる。
戯れる(たわむれる)
「戯れる」には複数の読み方があるが、何かを対象にして遊びに興じる場合などに「たわむれる」を使う。また、酒色にふける「道楽」といった意味を持つ言葉でもあり、ややネガティブなニュアンスが含まれるため、第三者の立場から発言する際には注意が必要だ。
跳ね回る(はねまわる)
「跳ね回る」は、愉快な事柄によって感情が高ぶった時などに、人や生き物が周囲を跳ねて動き回る様子を指して使われる言葉。例えば、「うさぎが地面を跳ね回る」や「子どもが公園を元気に跳ね回る」のような形で使用できる。
燥ぐの英語表現
最後に、燥ぐの英語表現と例文を紹介する。燥ぐと似た意味を持つ表現は複数あるが、本記事ではそのうち2つ取り上げる。
kick up one’s heels
“kick up one’s heels”は「羽目を外して思う存分はしゃぐ」といった意味を持つ慣用句。直訳では「かかとを蹴り上げる」や「駆け出す」となるが、体全体を動かして浮かれている様子を表現したい時にぴったりの言葉だ。
【例文】
“On the day the ocean opens, many people kick up their heels on the beach.”
(海開きの日は、たくさんの人がビーチではしゃぐ)
“He has been promoted in his department and kicking up his heels.”
(彼は所属している部署で昇進が決まり、とても嬉しそうに一人ではしゃいでいる)
make merry
“make merry”は「陽気に浮かれ騒ぐ」や「心が踊る様子」を表す慣用句。形容詞の“merry”には「楽しい」や「陽気な様子」のようにポジティブな意味が含まれる。
【例文】
“A new product developed by our company received an award, and all the employees were making merry from joy.”
(当社が開発した新商品が賞を受賞し、嬉しさから社員一同ではしゃいだ)
“We made merry until morning, forgetting about the time.”
(私たちは時間を忘れて朝まではしゃいだ)
文/編集部