ThunderboltとUSB Type-Cのケーブルは、見た目にほとんど違いがないので、どのような違いがあるのか分からなくなる人もいるでしょう。両者の違いやThunderboltの特徴、最新規格で改善された要素を見ていきます。
Thunderboltとは?
使用しているスマホやパソコンがThunderboltに対応していると聞いても、どのような意味かピンとこないかもしれません。より高速にデータをやり取りするために、知っておきたいThunderboltの特徴を紹介します。
データの「送信技術」の1種
Thunderboltはデータを送信する技術の1種であり、パソコンからスマホへデータを移動させるときなどに使う『データ通信規格』を指します。電力供給しながら高速なデータ送信とともに、対応したディスプレイに映像データも出力できるのが特徴です。
2011年に、アメリカのIntel社とApple社が共同で開発しました。時代に合わせて、たびたびバージョンアップされつつ、パソコンと周辺機器をつなぐ多くの場面で使用されています。
Thunderbolt 3の特徴
Thunderbolt 3は従来のThunderboltに比べ、約4倍の伝達速度を持っています。これまでの規格を改良し、最大伝送速度40Gbps(1秒あたり40ギガビットのデータを送受信可能)・最大給電容量100Wの性能を持ち、高速のデータ伝送を安定して行えるのが大きな特徴です。
また、周辺機器を直列に接続する「デイジーチェーン」に対応し、1個のポートから最大6台の機器を数珠つなぎできます。特定の機器を中心にして放射状に周辺機器をつなぐよりも、多くの機器を接続でき、ケーブルの配線をシンプルにできるのがメリットです。
ThunderboltとUSB Type-Cの違い
ThunderboltとUSBケーブルは、パッと見ただけでは同じように見えます。接続部分の形が同じなので、同一のものだと誤解してしまう人も多いはずです。どのような違いがあるのか見ていきましょう。
USB Type-Cはコネクタの規格
Thunderboltがデータ信号の規格を指すとしたら、USBは『Universal Serial Bus』の略で、パソコンと周辺機器をつなぐ接続規格の一つです。
電気的な回路や部品をつなぐ接続部品を『コネクタ』と呼びますが、USB Type-Cは、USBコネクタの形状の種類です。
USB Type-Bやデジカメなどに使われているmini USBとは違い、USB Type-Cの形状は上下の別がなく、接続時に形を確認する不便さが改善されました。コネクタは細長い楕円で、比較的新しいタイプのスマホに対応しています。
ThunderboltのコネクタにType-Cが採用
もともとThunderboltではオリジナルのコネクタが採用されていましたが、Thunderbolt 3からUSB Type-Cが採用され、対応機器の範囲が広くなりました。
一方で、コネクタの形状が同じために、ThunderboltとUSB Type-Cが混同されやすくなったと考えられます。Thunderboltのケーブルの端に描かれたマークの有無で見分けます。
全ての商品デザインが統一されているわけではないため見分けにくいですが、一般に『稲妻マーク』が使われていればThunderboltのケーブルだと判断できます。
Thunderbolt・USB Type-Cの互換性について
USB Type-CはUSB用の信号を扱い、Thunderboltとは通信速度も違います。例えば、USB 3.1 Gen 2の転送速度は最高10Gbpsになりますが、Thunderbolt 3では最高40Gbpsです。
Thunderbolt 3がUSB Type-Cに互換性を持てるのは『オルタネートモード』を利用しているからです。オルタネートモードは、USB 3.1に対応するUSB Type-Cのオプションで、USB以外のデータ信号でも動作できるようにします。
つまり、オルタネートモードを利用できない組み合わせの場合は、ThunderboltとUSB Type-Cの互換性はなくなってしまいます。
最新規格「Thunderbolt 4」の特徴
最新規格のThunderbolt 4は、Thunderbolt 3とコネクタの形状や通信速度は同じですが、USB 4.0との互換性を備えています。USB4への対応が標準化されたThunderbolt 4の特徴を見ていきましょう。
DMAによる脆弱性の改善
Thunderbolt 4はIntel VT-dベースのDMA保護機能を採用し、セキュリティー面が強化されました。
DMAは『Direct Memory Access』の略で、CPUを介さずに周辺機能とメインメモリの間で直接データを転送します。高速のデータ転送が可能になるので便利ですが、悪用されてThunderboltを経由したサイバー攻撃を受けた例がありました。
Thunderbolt 3は、DMA保護機能が必須条件ではなかったため、商品によってはセキュリティー面が不完全だったのです。Thunderbolt 4ではDMA保護機能が義務付けされ、大事なデータを守れるようになりました。
PCIe接続の転送速度・復帰方法を改良
Thunderbolt 4は、PCIe接続を採用している機器での転送速度が、よりスピードアップしました。PCIe接続した際の転送速度最小要件が、16Gbpsから32Gbpsに引き上げられています。
また従来のThunderboltでは、周辺機器をまとめて接続するハブなどを経由したマウスやキーボードから、スリープモードの解除ができない事例がありました。
Thunderbolt 4では、その問題が解決され、よりスムーズな作業開始が可能です。
構成/編集部