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不妊治療の保険適用化から1年、医療現場からみた保険適用によって生じる課題

2023.06.15

2022年4月に不妊治療が保険適用化されてから、1年が経った。保険適用により多くの患者の費用負担は軽減される一方で、課題や懸念も多くある。不妊治療の保険適用化がもたらした変化、今後の課題について、国内外から多くの患者が受診する福岡県北九州市の不妊治療施設・セントマザー産婦人科医院の田中院長と、DX化で診療効率改善と患者の受診体験向上を推進する東京恵比寿の不妊治療施設・トーチクリニックの市山院長に話を聞いた。保険適用化によるメリットとデメリットとは。今後制度はどう変わっていくべきなのか。

保険適用化により不妊治療のハードルが低下

不妊治療の保険適用化によって大きく変わったことの一つが、不妊治療を受ける患者年齢の低下である。不妊治療はタイミング法、人工授精などの一般不妊治療、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療とステップアップするごとに費用が高額になり、保険適用前の高度生殖医療を受ける際の治療費は1回あたり約30〜80万円、1人子どもを授かるまで平均で200万円程度とされていた。特に若年層のカップルは経済的理由から、約54%が不妊治療そのものや、次のステップに進むことを諦めているという調査結果もある。(出典:NPO法人 Fine 不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018)

保険適用化により、高度生殖医療1回あたりの自己負担額は約8〜20万円程度と経済的負担という点でハードルが下がった。また保険適用前の助成金制度は、還付によるサポートであったが、保険適用下では窓口負担金の額が減少、さらに高額療養費制度や利用可能な医療保険もあり、若年層や経済的余裕がないカップルも不妊治療に取り組みやすくなった。セントマザー産婦人科医院では、採卵を行う患者の平均年齢が39.13歳から37.95歳と、2歳弱も引き下がった。

これは経済的な面だけでなく、心理的な負担への影響も大きいと、トーチクリニックの市山院長は指摘する。

「不妊治療が保険適用化されるということは、診療が一般化されるということ。これまで日本では不妊治療がどこか後ろめたく、家族や友人にさえなかなか言えないような文化がありました。保険適用により不妊治療への認知が広がり、治療に取り組むハードルが下がったという声をよく聞きます。」(市山院長)

日本の不妊治療の大きな課題として挙げられるのが、治療を始める年齢の高さだという。

「妊娠を望む若年で健康な男女が自然妊娠をする確率は、約20%と言われています。ところが世間では、妊娠する力(妊孕性:にんようせい)が低下していくことに気がつかず、自分達は当然のように自然妊娠するものと思い込み、数年経っても子どもができず、そこでようやく不妊の可能性を考えるカップルが大勢います。これはひとえに若年層への性教育、特に妊孕性に対する教育が十分に行われていないことが影響していると考えています。平均初婚年齢が上昇するにつれ、この傾向はさらに加速しています。不妊治療は一般的に取り組み始める年齢が低く、妊孕性が保たれているほど成功率が上がるものです。保険適用化により受診のハードルが下がることで、若年層も不妊治療に取り組めるようになることは、出生率の改善にも大きな効果をもたらすことが期待されます。」(田中院長)

もう一つの大きな変化は、治療内容の標準化である。不妊治療はこれまで自由診療だったがゆえに、病院やクリニックにより治療方針が異なったり、技術のレベルも均一でなかった。保険適用化によって治療内容が一般化されることで、医療機関や地域格差が改善され、全国どのクリニックでも一定水準の治療を受けることが可能になった。

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