LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」では、不動産会社向けサービスなどを提供する6社と共同で、全国の不動産会社に勤める518人を対象とした「不動産業界のDX推進に対する実態調査」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
「DXに取り組んでいる(取り組む予定がある)」企業は51.3%
「貴社はDXに取り組まれていますか」という質問に対し、「取り組んでいる」が22.0%、「取り組む予定」が29.3%という結果に留まった。
昨今AIを含めてIT・デジタル技術が革新し、あらゆる業界においてDXが進められており、不動産業界においても不動産に特化したITサービスが提供されているにも関わらず、実態としてDXへ動き出せている不動産会社は2社に1社という実態が明らかになった。
DX導入(検討含む)の目的は「業務効率化」が約8割
DXに「取り組んでいる」「過去に取り組んでいたことがある」または、「取り組む予定」と回答した人を対象とした「DX導入(検討)目的を教えてください」の質問では、最も多いのが「業務効率化」で85.6%、次いで「集客力向上」が46.6%、「コスト削減/生産性向上」が41.2.%、「成約率(売上)向上」が40.4%となった。
さらに、「DX導入によって、改善・解決した課題はありますか」の質問では、最も多かった回答が「業務効率化」で78.4%となっており、DX導入の目的と成果はどちらも「業務効率化」が最多という結果が得られた。
また、DXに「取り組んでいる」「過去に取り組んでいたことがある」人のうち、導入目的で「業務効率化」を回答した人だけでみると「DX導入によって、改善・解決した課題」としても84.3%が「業務効率化」と回答しており、概ね期待していたことと成果が一致していると言える。
導入しているDXサービス1位は「CRM(顧客管理)システム」
DXに「取り組んでいる」または、DXに「取り組む予定」と回答した人のうち、「導入しているDXサービスを選択してください」の質問では、多い順に、1位の「CRM(顧客管理)システム」が42.9.%、2位が「賃貸管理(不動産基幹ソフト)システム」で41.0%、3位が同率で「電子契約システム」「IT重説システム」24.8.%となった。
導入しているサービスの1位、2位である「CRM(顧客管理)システム」「賃貸管理(不動産基幹ソフト)システム」は、不動産業界におけるDXサービスの先駆けであり、徐々に不動産業界に定着してきたと推測できる。
一方、3位の「電子契約システム」においては、2022年5月18日から「不動産取引の電子契約」が可能になってから約1年と考えると、関心度の高いサービスであり、積極的な導入が進んでいることがわかる。
DXに取り組んでいない理由の約半数は「必要性を感じない」
DXに「取り組む予定はない」と回答した人を対象にした、「DXに取り組んでいない(取り組めない)理由を教えてください」の質問では、最も多い回答が「取り組む必要性を感じていない」48.5%、次いで「予算がかけられない」41.9%、「取り組み方がわからない」20.7%となった。
約半数がDXへ動き出していないことからも読み取れるように、不動産業界におけるDX導入の成功事例が伝わっておらず、取り組むメリットや対応への切迫感が理解されていないため、「取り組む必要性を感じていない」という回答が多くなっている可能性も考えられる。
その他フリーコメントでは「個人としては取り組んでほしいと思うが会社として腰が重い」「会社自体、新しいもの、時代のものに難色を示している」「上司に否定されている」といった、会社と従業員の間にDX導入に対する意識のギャップがあることを示す回答も一部から寄せられた。