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私有地にいる昆虫は誰のもの?昆虫採集の時に注意したい違法行為

2023.06.17

3. 条例で昆虫採集が禁止されている地域がある

都道府県や市区町村では、生態系の保護などを目的として、一部の地域において昆虫採集を禁止する条例を定めている場合があります。

昆虫採集を行う際には、該当地域における条例のルールも念のためご確認ください。

4. 他人の私有地で昆虫採集をする場合の注意点

他人の私有地に立ち入って昆虫採集をする場合は、立ち入り行為と採集行為のそれぞれについて、法律上のルールに注意が必要です。

4-1. 私有地への無断立ち入りは犯罪・不法行為に当たる場合あり

他人の住居や、他人の看守する邸宅・建造物の敷地に無断で立ち入ることは住居侵入等罪に該当し、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」に処される可能性があります(刑法130条)。

また、私有地に立ち入った際に備品や植物を損傷するなど、所有者に損害を与えた場合には、不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法709条)。

昆虫採集は、寺院や森林などのうち誰でも立ち入りが認められている場所で、他人に迷惑をかけないような形で行うようにしましょう。

4-2. 他人の私有地にいる昆虫は誰のものか?

他人の私有地にいる昆虫は、必ずしも土地所有者の所有物であるとは限りません。

たまたまその土地にいるに過ぎない昆虫に対しては、土地所有者による支配が及んでおらず(=占有の事実なし)、支配する意思も認められないことから(=占有の意思なし)、土地所有者の占有が認められないと考えられるためです。

したがって、他人の私有地にいる昆虫は無主物(=誰も所有していない物)であり、採集しても窃盗罪などは成立しないケースが大半です。

ただし具体的な事情に鑑み、土地所有者に占有が認められると評価すべき場合には、昆虫採集について窃盗罪が成立し得る点にご注意ください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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