「2024年問題」の解決につながるか?旭化成ホームズが提案する鍵付きの置き配スペース「スマートクローク・ゲートウェイ」
2023.06.13■連載/阿部純子のトレンド探検隊
いつでも非対面で受け取れる、室内に設けた鍵付きの置き配スペース
ネット通販、食品配達サービス、サブスクサービス、クリーニング宅配等、宅配が伴うサービスは今や生活に欠かせないものとなった。しかし、配達時間に合わせて在宅しなければいけない、食品配達サービスだと外箱(通し箱)の保管が面倒、置き配を片付ける手間がかかる、置き配で留守がわかってしまう、いたずらが心配など、宅配サービスに関わる困りごとも多い。
2021年11月にリリースされた、旭化成ホームズが提供する「スマートクローク・ゲートウェイ」は、宅配サービスにおける悩みを軽減する、室内に設けた鍵付きの置き配スペース「スマートクローク」を活用したサービスプラットフォーム。
スマートクロークは、主玄関とは別に設けた配送専用玄関のスマートロック付きの外扉と、収納スペースなどを兼ねた1~2畳の空間、室内とスマートクロークを隔てるシリンダー錠付きの内扉、配達状況を監視するワイヤレスカメラと高機能インターフォンで構成。
置き配していることが外から見えない仕様のため、留守だとばれず安心して外出することができ、在宅時に手が離せない時でも荷物を受け取ることができる。邪魔になりがちな食品配達の通し箱も保管でき、玄関まわりがすっきりと片付く。
宅配事業者や特定のオンラインショッピング事業者からの配送完了メールを自動解析用メールアドレスに転送すると、専用アプリで、自動で解析された情報をもとに配送伝票番号の一部を利用した日時指定の解錠キーが発行、登録される。
配達員が指定の日時に解錠キーを入力してスマートクローク内に配送。解錠キーは配達時間内だけ有効で、時間を過ぎると開けられない仕組み。業者を問わず利用できるように、玄関ドアには宅配専用ドアへの誘導プレートを、外扉には解錠の方法を案内するシールを貼っている。
スマートクロークの利用者は食品配達を利用しているユーザーが多いとのことで、キッチンと連結させた設置にすれば、動線がスムーズになり食品配達で食材が届いたときに玄関からキッチンまで運ぶ手間が省ける。お米やペットボトル飲料、ウォーターサーバーの水など重い荷物もキッチンの近くにストックできるので、パントリーとして利用価値も高い。
配達員から見つけやすい場所で、防犯上、奥まった場所には設置できない等の制約があり、現在は、新築物件のみを対象にしているが、要望が多く寄せられていることもあり、既存の住宅、集合住宅への設置も今後検討していくという。
「安全面に関しては、内扉が施錠できる、配達員が来たときはインターフォンで通知、防犯カメラの設置、万が一の際の盗難補償制度と、トータルのソリューションとして提供しています。
配達員が入ってきて、クローク内に潜んでいたらどうするのかというお声もありましたが、クローク内にあるワイヤレスカメラがモーションセンサーで察知して、入ってきた状態を常時録画し、録画している間は音が出続けて、録画していることを配達員にも知らせる仕様になっています。
実証実験での配送の様子を見ていると、配達員はいずれもドアを開けたら中まで入らず荷物を置いてすぐに立ち去っていました。利用者から盗難補償の請求があったケースも一度もなく、現状の防犯システムで十分有効だと考えております。
開発時のヒアリングでは、室内に入ってくることに対して、外と家の中間的なスペースなので気にしないという方もいる一方で、食品をストックする場所に他人が入るのは少し怖いのでロールスクリーンで仕切りたいなど、さまざまなご意見がありました。
若い世代のお客様は配達員が家の中に入ることに抵抗がない傾向がありますが、50~60代の方は仕切られているとはいえ抵抗があるという方も多く、今年の5月に発売した新商品「Ratius GR」には、外扉を開けると荷物を置くだけのスペースで通り抜けのできないタイプも新たに出しました。こちらだと通常のスマートクロークの3分の1程度のスペースで設置できます」(旭化成ホームズ 技術本部 iDX商品開発部長 下川美代子氏)
スマートクローク・ゲートウェイの初期設定費用は1万円、月額は500円。設置サイズは個々の希望するサイズを選択できる(最小サイズは915×610mm)。