投資戦略で大切なこと
ブラックスワンが突然やってくるのであれば、避けることはほぼ不可能です。
つまり、長期投資を続けるなかで、必ず金融危機などの大暴落はやってくると考えた方が良いでしょう。
大切なことは、本来の投資の目的は何か、事前に準備をしておくことではないでしょうか。
これが資産形成や資産運用で最も大切な投資の心構えのひとつです。
また定期的にポートフォリオの方針を点検することも大切です。
なぜなら、どんなに頭で理解していたとしても、暴落時に狼狽売りするリスクが高まるからです。実際、投資をする上で銘柄選定も大切ですが、それと同じように投資家自身の感情のコントロールも運用を続けるなかでとても重要です
とはいえ、適切なリスクの判断を投資家自身が客観的に行うことは難しいでしょう。
一般的に金融資産のなかで投資の割合は「100−年齢」が適切ともいわれており、ひとつの目安になるのではないでしょうか。
おわりに 株式市場は平均へと回帰する
株式市場には「平均への回帰」と呼ばれる現象があり、長期になればなるほど平均値に戻ろうとする引力が働くことは、S&P500などの指数におけるPER(株価収益率)の動きからも確認することができます。
投資家にとって、株式相場が上昇局面や下落局面のときも「平均への回帰」は覚えておきたい重要なポイントです。
近年、注目されているドルコスト平均法によるインデックス投資は、こうした法則を活かした投資手法でもあるのです。
マーケットとは、インフレや天災、戦争の可能性など、あらゆる手段を使って、私たち投資家に多くの売買をさせようとしてくるものです。
次のブラックスワンはいつやってくるか分かりませんが、
こうした不条理ともいえる現象を事前にシミュレーションしておくこと。
これが投資家として無駄な売買を避ける賢明な方法でもあるのです。
ブラックスワンによって動揺したマーケットは大衆心理そのものであり、だからこそ、過去に起きた金融危機や大暴落を学ぶことが、現在と未来の投資戦略に役立つはずです。
文/鈴木林太郎