インドネシアの実体経済を変革させたGoPayというキャッシュレス決済銘柄がある。
インドネシアは、慢性的な「小銭不足」に悩む国。コンビニへ行っても、買い物に見合わない高額紙幣を出すと敬遠されることがよくある。それは個人経営の店なら尚更で、故に消費者はいつでも小額紙幣やコインを持ち歩いている必要があった。
その状況を大きく変え、さらに中小零細事業者に対して巨大な恩恵を与えているのがGoPayだ。
インドネシアのバイクタクシー
さて、日本にも同じ綴りの『GO Pay』というアプリがある。
これはタクシー乗車アプリだが、インドネシアのGoPayも実はバイクタクシーアプリGojekから派生したサービスだ。
インドネシアでは、利用者がバイクの後部に跨るバイクタクシーは伝統的に「ojek」と呼ばれていた。地元市民にとってはどのような細い路地でも進んでくれる便利な交通手段だったが、一方で料金は交渉制である。
地元在住者かそうでないか、インドネシア人か外国人かでバイクタクシーのライダーは算段を働かせる。誰しもが同一基準の料金で乗ることはできなかった。
しかし、バイクタクシーそのものをオンライン化すればどうだろうか。
Google Mapと連動して目的地までの走行ルートを算出すれば、距離に応じた明確な料金が算出される。Gojekが導入したこの仕組みにより、ボッタクリが当たり前だったバイクタクシーが一転して「誰でも手軽に利用できる交通手段」に変貌したのだ。
が、いくらフェアな料金を算出できたとしても、実際の支払いが現金ではライダーに大きな負担がかかってしまう。
そこで開発されたのがGoPayである。
コンビニでチャージできるキャッシュレス決済
GoPayは、スマホにインストールさえしていれば外国人にも使いやすい設計になっている。
アプリ導入直後は、もちろんGoPayの残高はゼロ。それをチャージする方法は様々あるが、最も簡単なのが地元のコンビニIndomaretに足を運ぶ方法だ。
このようにチャージ額に応じたバーコードをIndomaretのレジに差し出し、チャージ額分と手数料を払う。すると、残高がアプリに反映される。字面にしてみても、極めて簡単な手順だ。
残高さえ十分なら、あとはバイクタクシーも利用できるし食事も手配できる。
要はUberのインドネシア版……と言いたいところだが、GojekとGoPayの守備範囲はそれに留まらない。光熱費の支払い、買い物代行、荷物の配送、そして医薬品の配送。バイクで運べるものはみんな運んでしまおうというわけだ。
この中で筆者が注目しているのは「医薬品の配送」である。
インドネシア、特にジャカルタは交通渋滞が深刻で、さらに病院も薬局も多くの人が押し寄せて数時間待ち……ということがよくある。これを極力オンライン化し、また医薬品を患者の自宅へGojekを使って届けようというサービスがGoMedだ。オンライン医療サービスhalodocと連携している。
つまり、GojekとGoPayはもはや「バイクタクシーだけのサービスではない」ということでもある。