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インドネシア版の交通系ICカード「e-Money」を使って感じた日本のキャッシュレス決済のメリットと課題

2023.06.14

路線バスが一乗り34円!?

外国人観光客にとって、インドネシアの公共交通機関は決して乗りやすいものではない。

これは日本を訪れた観光客も同様だが、路線バスに乗るにしても料金体系がどうなっているのか、そして料金を支払う方法がどうなっているのかを把握していないうちは難しい。

その点、キャッシュレス決済を導入しているバスは会計が明瞭で小銭を持つ手間もかからず、乗車に際する難易度もぐっと下がる。

インドネシア中部の古都ジョグジャカルタを走る路線バス、トランスジョグジャの運賃は一乗り3,600ルピア。日本円で34円といったところだが、これはもちろんe-Moneyの存在が前提の乗り物である。

ジョグジャカルタの中心街から20km近く離れたプランバナン寺院群までトランスジョグジャで行くと、その驚異的なコストパフォーマンスを実感することができるはずだ。

通信速度の違いを実感

しかし、e-Moneyを使っていると日本の交通系ICカードとの違いもだんだんと見えてくるようになる。

最大の違いは、冒頭でも書いた通り「通信速度」である。Suicaを始めとした交通系ICカードはFeliCaを採用しているだけあり、やや中途半端なかざし方でも上手く認識してくれる。

そのようなキャッシュレス決済カードが構築する環境を知っている日本人なら、e-Moneyにそこまでのパフォーマンスは見込めないということがすぐに認識できるはずだ。

筆者がジョグジャカルタから近郊都市への鉄道路線を利用した際、駅構内への入場に5分ほど並ばなければならないということがあった。自動改札機の前で人が行列を作っていたのだ。

それは結局、e-Moneyの通信速度……というより、カードの読み込みの遅さに起因する現象だ。自動改札機のパッドにしっかりカードを当てないと情報を読み込んでくれないため、そこで乗客の足が止まってしまう。

日本のように「小走りしながらSuicaをパッドにかざして入場」などということはできない。

日本全国のJRグループがタッチ決済クレカの自動改札機対応に積極的ではない理由(まったく実証実験をしていないという意味ではない)が、インドネシアに行けば嫌というほど理解できる。

交通系ICカードとタッチ決済クレカは共存できるか?

日本では現在、私鉄やバスを中心に「タッチ決済クレカ対応」の実証実験が行われている。

これは回復しつつあるインバウンド需要を見越した上での取り組みでもあるが、従来の交通系ICカードとタッチ決済クレカを共存させても乗降車・入退場の流れがスムーズに行われるのかはまだ未知数だ。

いずれにせよ、FeliCaと他のNFC規格は通信にまつわるパフォーマンスが全く異なるため、鉄道駅にそれを導入する際も「両者の特性を生かせる設計」が求められる。

そして、海外のキャッシュレス決済は日本の現状や未来を映し出してくれる鏡でもあることをここで強調しておきたい。

取材・文/澤田真一

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