四国カルストへ寄り道しよう!
矢筈峠を越えたところで、四国カルストへ寄り道をすることにしました。
カルストとは火山活動によってできる地形のひとつで、大地に露出した石灰岩が、長年にわたって雨水などで浸食されてできます。四国カルストは日本三大カルストのひとつに数えられ、標高1000m~1500mに広がる広大で爽やかな景色が人気を集めているのです。
439号線からカルストへ行くには、津野町から県道48号線へ入ります。カルストへ向けて一気に高度を上がるため、グニャグニャと九十九折りの山道を上ることになったのですが…。
普段なら国道から県道へ入ったとたんに一気に道が険しくなり、両者の間に管理の違いがあることを実感します。しかし今回の場合、48号線の方が狭い区間が多いものの、両者に大きな差はありません。
439号線から離れたのに、かえって439号線の「酷道っぷり」を実感する不思議な出来事でした。
20分ほど走るとすぐに道が開け、四国カルスト公園縦断線(県道383号線)に出ます。山の尾根に沿って一直線に伸びる道の周りには、自然にできたとは思えないような面白い景色が広がっていました!
草原の中に、点々と石灰岩が散らばっているのです。その様子はまるで彫刻作品群のようで、自然に出来上がったものとは思えません!
その上、標高の高さから四国カルストには背の高い木が生えず、手を伸ばせば届きそうなほどに空が近く見えるのです。視界の限り広がる青い空と緑の草原。まるで日本ではないどこかの国、あるいはアルプスの少女が住んでいる町へ来たみたいでした。
まさにツーリング・ドライブスポットとしてはうってつけ。開放感のある眺めにウットリしちゃいました。
ちなみに、草原の中にポツポツと見える茶色や黒の点は、付近の牧場で飼われている牛たちです。
近寄ってもモシャモシャと草を食べる姿を眺めていると、ノンビリとした様子につられて、下界の喧噪や日常の忙しさを忘れられたような気がしました。
最後の峠『杓子峠』が険し過ぎた!
439号線に戻ると、いよいよ残りの道は100kmを切りました。
比較的大きな集落がある津野町内では、古い民家が立ち並ぶのどかな風景が広がっています。道は相変わらず狭いため、人や車が飛び出して来ないかを注意しながら進む必要がある区間でした。
峠越えも冒険感があってよいのですが、「普通の集落の中を通る細い道が実は国道だった」というシーンは、酷道巡りならではのシーン。
町道と思しき道と、どちらが国道なのかわからないような別れ道もあり、おいしい風景を楽しむことができました。
しかし、(失礼かもしれませんが)439号線は腐っても国道。集落がない区画でも、見通しが悪くて事故が起きた時に危険そうな箇所に関しては、少しずつ改良されている印象を受けました。
ひょっとすると数十年先、数百年先には、439号線が全道にわたって2車線道になる日も来るのでしょうか?
…なんて言ったものの、やっぱり撤回したくなるようなシーンにすぐ出会いました。四万十町と四万十市というふたつの「四万十」の町を繋ぐ杓子峠に入ってからは、439号線最後の難所ともいえる激しい峠道を越えることになったのです。
地図で見る限りでも、杓子峠は足の指で筆を握って描いたようなガタガタ・グニャグニャなルート。たったの30kmほどの区間ですが、その中には酷道のエッセンスが濃縮されていました。
特に四万十町と四万十市の境付近では、落ち葉と湧き水でグッショリと汚れた路面があるではないですか。
酷道は四季折々で姿を変えるため、落ち葉が見られるのは秋だけ。多少長引いたとしても、春の始めまでの限定的な景色です。それが、5月の中旬になっても道路が埋まるほど残っているなんて。ある意味写真映えする景色に大興奮でした!
杓子峠はまさに酷道の見本ともいえるような区間で、日没が近付いているにも関わらず、写真に収めたいスポットが多くてなかなか先へ進めません。
もしもこの記事を読んで439号線ツーリングをしようと思っている方がいるならば、杓子峠を通るまでにたっぷりと時間を残しておいてくださいね。