「国道」と聞くと、車が走りやすいようきれいに整備された道路を想像するのではないでしょうか。ところが地方の山道を中心として、稀に「国道」という区分でありながらも環境や状況が酷い道が存在しているのです。
マニアの間では愛を込めてそれらの国道のことを「酷道」と呼んでおり、全国には30以上の酷道が存在すると言われています。
前回の記事では、国道439号線を走って徳島県徳島市を出発。高知県越知(おち)町まで走り、黒瀬キャンプ場にて宿泊をしました。今回の記事では、高知県四万十市の終点へ向けてツーリングを続けます。果たしてどんな冒険が待っているのでしょうか…!?
仁淀ブルーを堪能する
朝6時。テントの中で目を覚ますと、すぐ隣を流れる仁淀(によど)川にはうっすらと霧がかかり、神秘的な風景が広がっていました。
仁淀川は国土交通省が発表する「水質が最も良好な河川」に選ばれており、通称「仁淀ブルー」と呼ばれるほどの美しい色と透明感を持ちます。思い切り息を吸うと空気も澄んでいて、体の中がまっさらになった気分!
天気も文句なしの快晴で、幸先がよさそうです。大自然の中で贅沢に朝ご飯を食べて、まずは仁淀川にかかる片岡沈下橋へ向かいました。
沈下橋とは高知県によく見られる種類の橋で、欄干がなく、雨などで川が増水した際に水面下へ沈むように作られています。一般的な橋よりも水面との距離が近く、写真映えがするスポットとしても愛好家から人気を集めているのです。
実際にわたってみると、進行方向に対して垂直に動く川の流れが視界に入って、だんだん川下方向へ吸い込まれるような気分になります。ちょっと怖いかも…と思って地元の方を観察していると、視線を川ではなく遠くへ向けて渡るのがコツのようでした。
仁淀川を堪能したところで439号線の旅へと戻りましょう。現在は全旅路の3分の2ほどを進んだ地点。そのまましばらくは仁淀川沿いを進みましたが、途中の仁淀町で国道33号線とわかれ、ゆるやかに南下していきます。
酷道と言いながらも改良が進みつつあるようで、特に人が多く住んでいる地域では走りやすい2車線道が見られました。
しかし集落を出て矢筈(やはず)峠にさしかかると幅員が減少。同時にアスファルトの舗装も古いものになり、元の439号線がどれだけ険しい道であったかがうかがえました。