広々とした室内空間と独自の操作性
試乗に出る前に室内をチェックすると、室内は前、後席ともに広く、ガラスルーフも大きく、明るい。前席はやや高めの着座位置で、前、後方ともに見やすい。若干、左前方のAピラーが太いのが気になるぐらいだ。
後席は着座は高くないが、その分、頭上のスペースはたっぷり。ガラスルーフは頭上まで拡がっている。足元もフラットで広く、小さな子供なら寝てしまいそうな広さ。背もたれは3分割でき、リクライニング機構も組みこまれている。前倒すれば、ラゲージスペースと床面が面一になる。
ラゲージスペースはリアだけではない。フロントにも小型のキャリーバッグが入るスペースが確保されている。テスラらしいのはこうしたラゲッジスペースリッドのロック解除は、前席中央になる大画面のモニターで行なうこと。
試乗前にクルマに乗り込む時も、キーはカードかスマホをBピラーにタッチする。操作系のすべてが、スマホやパソコン感覚だ。スタートはコラムのシフトレバーをDにする。Pはレバーの頭部スイッチを押す。メルセデス・ベンツと同じ方式だ。Dにシフトし、アクセルペダルを踏みこむと、音もなく、しかも俊敏に、タイムラグなく加速を開始する。
試乗車は前後軸にモーターを搭載したツインモーターの4WD、「パフォーマンス」グレード。テスラは公式にはバッテリー総容量などを公開していないが、1モーターの「RWD」で220PS、350Nm。動力性能は最高速が217km/h、一充電航続距離が507km(WLTCモード)、0→100km/h加速が6.9秒と発表されている。
デュアルモーターでは最高速が250km/h、0→100km/hが3.7秒と発表されている。実際にデュアルモーターの試乗車で0→100km/hが4秒だった。テスラの場合、EV性能が話題の中心になりがち。ハンドリングに関してはあまり触れられていない。初期モデルは硬さだけが印象に残ったが「モデルY」では、モード(コンフォート/標準/スポーツ)による差別化もできている。
標準モードでは直進性は重めの操舵力を維持、カーブでは切り込んだ時の抵抗はあるが素直なハンドリングを実現している。乗り心地は全域でソリッドな硬さはある。スポーツセダンと割り切れば十分に耐えられる硬さだ。最新のテスラ「モデルY」は、インパネやドアの建てつけ、サンバイザーの厚みなど、品質面での高さが感じられるようになった。
デビュー当初、800万円台(パフォーマンス)も、2023年1月に一気に750万円台に値下げ、3月時点で754万4600円(シングルモーター、後輪駆動は583万4600円)と、欧州メーカーのEVより安めの価格設定も魅力だ。
■関連情報
https://www.tesla.com/ja_jp/modely
文/石川真禧照(自動車生活探険家) 撮影/萩原文博