企業が入社希望者の能力や適性と明らかに関係のない事柄で、合否を判定することを「就職差別」という。
「多様性」が重んじられる今の時代において、いまだにこうした就職差別を行っている企業は、どれくらい存在するのだろうか?
日本労働組合総連合会はこのほど、「就職差別に関する調査」を実施し、最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用試験、または中途採用試験)を受けた、全国の15歳~29歳の男女1,000名の有効サンプルを集計した。ここでは、調査結果の一部を抜粋して紹介する。
応募書類・エントリーシートの提出や採用面接において、知られたくない・企業に示す必要がないと思うことは?
全回答者(1,000名)に、応募書類・エントリーシートの提出や採用面接において、知られたくないあるいは企業に示す必要がないと思うことを聞いたところ、「他社の選考状況」(37.7%)が突出して高くなった。
他にどの企業の採用試験を受けているかということや、どの段階まで進んでいるかということなどを伝える必要性はないと考えている人が多いようだ。次いで高くなったのは、「趣味・特技」(18.0%)、「顔写真」(16.2%)、「学校生活・学生生活に関すること」(14.9%)、「学歴」(14.2%)となった。
男女別にみると、女性では「他社の選考状況」(43.2%)が全体と比べて5ポイント以上高くなった。
「就職活動をしていて“学歴フィルター”を感じたことがある」人は40.4%、大卒者では43.9%
事業者が、応募者を出身学校名によって振り分け、採用選考の対象とするかどうか決めることは“学歴フィルター”と呼ばれており、たとえば特定の大学の学生しか説明会やセミナーに参加できないといったことがあてはまる。
全回答者(1,000名)に、就職活動をしていて、いわゆる“学歴フィルター”を感じたことがあるか聞いたところ、「ある」は40.4%、「ない」は59.6%となった。就活中、“学校名でふるいにかけられているのでは”と実感した人は4割にのぼることが明らかとなった。
最終学歴別にみると、「ある」と回答した人の割合は、中学校(45.2%)が最も高くなり、四年制大学・大学院(43.9%)、専門学校・短期大学(36.6%)、高等学校(33.6%)と続いた。
「就職活動をしていて“男女差別”を感じたことがある」人は32.8%
全回答者(1,000名)に、就職活動をしていて、いわゆる“男女差別”を感じたことはあるか聞いたところ、「ある」は32.8%、「ない」は67.2%となった。
就職活動をしていて男女差別を感じたことがある人(328名)に、就職活動をしていて感じた男女差別の内容を聞いたところ、「男女で採用職種が異なっていた(男性は総合職、女性は一般職など)」(39.6%)が最も高くなった。
男女雇用機会均等法では、労働者の募集や採用に関して、性別を理由とする差別が禁止されており、たとえば採用職種の対象を男女で異なるものとすることが該当する。
ルールに反した採用選考に遭遇した人は少なくないようだ。次いで高くなったのは、「採用予定人数が男女で異なっていた」(36.9%)、「男性のみ、または女性のみの募集だった」(30.8%)、「男女で制限条件が異なっていた(婚姻の有無や自宅通勤者限定など)」(22.0%)、「男女で年齢制限が異なっていた」(18.6%)となった。