普段聞き慣れた言葉でも、漢字で書かれていると読み方に迷うケースは少なくない。「言い包める」もそんな言葉の一つだ。「包む」は「つつむ」と読む場合が圧倒的に多いことから、いいつつめる?と思いがちだが、正しい読み方は別にある。とっさの場合に間違えないためにも読み方や意味を押さえておこう。
本記事では「言い包める」の読み方と言葉の意味、使い方や言い換え表現、さらには「言い包める」というシチュエーションにモヤっとする人のための「言い包められないための対処法」も解説する。
「言い包める」の読み方と言葉の意味
「言い包める」の読み方は「いいくるめる」。言葉巧みに相手を信用させてだます、嘘をもっともらしく言うなど、どちらかと言えば悪い意味で使われる言葉だ。
受身形での使い方は「言い包められる」「言い包まれる」どっち?
「言い包める」を受身形で使う場合は、「言い包められる(いいくるめられる)」が正しく、「言い包まれる(いいくるまれる)」は誤り。「包む(くるむ)」という言葉と単体で受身形にすると、「包まれる(くるまれる)」になるためややこしいが、「言い包められる」という表現で丸ごと覚えておくと良いだろう。
「言い包める」と「丸め込む」の違いは?
「言い包める」に似た言葉に「丸め込む(まるめこむ)」があり、両者の違いが気になる人も多いはず。「言い包める」も「丸め込む」もほぼ同じ意味の言葉だが、「丸め込む」の場合は、相手をだました上で思い通りに操るというニュアンスがやや強くなる。また、相手をだます際の方法として「言い包める」が言葉を使う印象が強いのに対し、「丸め込む」は必ずしも言葉に限定されず、様々な手段が用いられることをイメージさせる。
「言い包める」の類語・言い換え表現
「言い包める」には「丸め込む」以外の類語も数多く存在する。中には、類語でありながら悪い意味を持たない言葉もあるため、「言い包める」や「丸め込む」を使いにくい場面では、こちらの言い換え表現を使うと良いだろう。
・説き伏せる(ときふせる)
よく説明して相手を自分の意見に従わせること。どちらかと言えば、「粘り強く説得する」といった良い意味で使われる。
・口説き落とす(くどきおとす)
最初は承知していなかった相手に何度も頼み込み、最終的に自分の意に従わせる(納得させる)こと。説き伏せると同様に、粘り強さを表す良い意味として使われるケースが多い。
・口車に乗せる
巧みな言葉にだまされること、おだてに乗ること。「言い包める」「丸め込む」とほぼ同じ意味。
「言い包める」を使った例文
・納期までに間がない仕事を、部下を言い包めて引き受けさせた。
・上司に言い包められて受けた仕事のせいで残業が続いている。
・黒を白と言い包めるのも仕事のうちだ。
言い包められる状況にモヤっとした時は?
「言い包める」も「言い包められる」も人間関係にはありがちなシチュエーションであるだけに、この言葉にモヤっとする人も多いはずだ。特に、言い包められることが多くてストレスを抱えがちな人は、以下のポイントをチェックしてみよう。
言い包めるのが上手い人ってどんな人?
世間には言い包めるのが上手い人がいる。主に次のような特徴を持つ人が、他人を言い包めるのが上手い人と言われている。
・自分に自信がある
・知識がある(または知識があるように見せるのが上手い)
・共感力や会話力などのコミュニケーション能力が高い
・負けず嫌いで自分の意見を変えたがらない
・頭の回転が早く、議論慣れしている
・相手よりも立場が上であることが多い(年長者、上司、雇用主、教師など)
言い包められないための対処法
言い包めるのが上手い人にいつも言い包められてしまうという人は、以下の行動を心がけるだけでも言い包められる頻度を下げることができる。自分の意に沿わない仕事や頼みごとを引き受けないようにするためにも対処法を覚えておこう。
・堂々とする(相手に合わせて、自分も自信がある様子を見せる)
・冷静になる(言い包めようとしてくる相手の言葉に動揺せず、論理的に話をする)
・知識を持つ(言い包めるのが上手い人が話題にする事柄について自分も正確な知識を持っておく)
・断る勇気を持つ(無理なものごとは引き受けず、はっきりと不可能であると告げる)
・自分に被害が及びそうなときは離れる(もしくは最初から近づかないようにする)
文/編集部