イヤホン設定がトリッキーなAndroid、ただしコスパは高い
少々戸惑うのは、イヤホンの設定かもしれない。接続するまでは簡単で、ケースのふたを開き、スマホ側の設定メニューでBluetoothの項目を開き、FreeBuds 5を選択するだけ。こうした設定に慣れていれば、特に引っかかるところはないはずだ。一方で、詳細な設定をしようとすると「AI Life」というアプリが必要になる。このアプリが、Google Playに公開されていない。
では、どうやってダウンロードするかというと、パッケージに同梱されている説明書のQRコードを読み込み、「AppGallery」というファーウェイの用意したアプリストアを開く必要がある。ここからアプリのダウンロードはできる。ただ、この方法はいわゆるサイドローディングと呼ばれるもの。プラットフォーマーの公式ストアを迂回するため、セキュリティを一時的に弱めなければならない。
設定用のアプリは、ファーウェイのアプリストアからダウンロードする必要がある
もちろん、ファーウェイのアプリに悪意があるわけではないが、初めての人には、画面に表示される警告がまるでマルウェアのように見えるはずだ。実際にはそうでないとわかっていても、「有害なファイルの可能性があります」と表示されるのは、なかなかインパクトがある。ただし、これはAndroidの話。iPhoneやiPadの場合、AppStoreにAI Lifeのアプリが公開されているため、話はシンプルになる。
ダウンロード時に警告が表示される。かなり強めのメッセージで、怖さを感じるユーザーも多いだろう
実際、Google Playにはファーウェイ製のアプリがほとんど存在しない。これは、冒頭で述べた制裁の影響によるものだ。AndroidはOSとしてサイドローディングを認めているものの、上記のようにストアを迂回したアプリにはかなり強い警告を発するようになっているため、慣れていない人にはハードルが高い。状況的にいたしかたないところではあるが、Androidでの利用を考えている人は、この点に注意したい。
Google Playには、ファーウェイ製のアプリがほとんどない。これも制裁の影響だとみられる
AI Lifeでは、ノイズキャンセリングのモード変更や、イコライザの設定などが可能。ロングタップやダブルタップに割り当てる操作も変更することができる。そのため、FreeBuds 5を使いこなすうえでは必須アプリといっても過言ではない。同機を購入した場合、忘れずにインストールしておくようにしよう。
AI Lifeを使うと、ノイズキャンセリングや各種操作の設定を変更できる。FreeBuds 5を使う上で、必須のアプリといってもいいだろう
こうした難点はあるものの、操作性や音質、フィット感などの満足感は高い。2万円前後のイヤホンとして、完成度は十分と言えるだろう。筆者のように、密閉型のイヤホンを長時間つけると耳が痛くなってしまうような人には、ぜひ試してもらいたい一品だ。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★★
操作性能 ★★★★★
音楽性能 ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
バッテリーもち ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。