企業や行政の活動を支えるデザイン会社、コンセントは2018年5月に発表された経済産業省と特許庁による「デザイン経営宣言」から5年目となる2023年、国内の企業現場での「ビジネスにおけるデザイン活用」の実態を調査。
結果をまとめた上で「デザイン思考・デザイン経営レポート2023」として公開した。
この調査ではインターネット調査を用いて非デザイナー、中でも広く企業でイノベーションを推進する職種のビジネスパーソンを中心とした500名を対象に、現場における「デザイン思考」や「デザイン経営」の理解や活用、DX推進との関係などを調査したものだ。
成果を実感できるDX推進の鍵は「デザイン思考」を習得した人材
所属企業がDXに取り組んでいる層(n=227)のうち、所属企業でのDXの取り組みに対する成果を実感している層(n=54)では、44.5%が「(所属企業で)DXの推進にデザイン思考を習得した人材を非常によく活用できていると思う」と回答している。
まだ成果を実感できていない層(n=173)の回答(2.3%)に比べて、デザイン思考を習得した人材の活用度が高いと感じていることがわかる。
「デザイン思考はデザイナーのもの」という誤解
非デザイナー職でもデザイン思考を身につけられることを「あまり知らなかった」、もしくは「全く知らなかった」人は55.9%となっていた。
デザイン思考の有用性が注目されているイノベーションやDXの現場を担うビジネスパーソンであっても、デザイン思考はデザイナー以外は身につけられないという誤解があることがわかる。
デザイン思考は次の必須ビジネススキルに
イノベーションやDXの現場を担うビジネスパーソンのうち、VUCAの時代を生き抜くためにデザイン思考を習得したり、ビジネスの現場で実践することについて「非常に関心がある」人は21.0%。「ある程度関心がある」も合わせると75.4%の人がデザイン思考の習得や実践に関心を持っていた。
また、ロジカル思考などのビジネスに役立つ代表的な思考法それぞれにおける認知度と活用度のギャップをみたとき、デザイン思考は認知度と活用度のギャップが最も大きい(認知率が高い一方で、活用率は低い)。
このことから、デザイン思考には今後活用が拡大するポテンシャルの高さがあることが示唆される。
DXやイノベーション推進で実感、所属企業のデザイン経営導入への難しさ
デザイン経営について説明を受けたイノベーションやDXの現場を担うビジネスパーソンのうち、「自社でも取り入れてほしい」と考える割合は9割に近い結果となった。
しかし、そのうちの6割近くは「実際は難しい」と考えており、その理由として「デザイン経営で得られる効果がわからない」「上層部の意識が変わらなそう」「社内のどのようなメンバーが適任者かわからない」「何から始めたらいいかわからない」などを挙げている。
調査概要
調査手法/インターネット調査
調査時期/2023年1月
調査対象/従業員100名以上の企業の従業員500名
・分析対象/イノベーションやDXの現場を担う非デザイナーのビジネスパーソン…410名、比較用その他の職種の非デザイナーのビジネスパーソン…90名
関連情報
https://www.concentinc.jp/solution/designthinking-designmanagement-report2023/
構成/清水眞希