XCIENT Fuel Cellの信頼性と性能に関する実績
記者会見では、ヒョンデ取締役副社長兼商用車開発責任者であるマーティン・ツァイリンガー氏がXCIENT Fuel Cellトラクターの市販モデルを紹介し、その技術と性能よび信頼性の実績を強調した。
2020年に初めて発売されたXCIENT Fuel Cellは、スイス、ドイツ、イスラエル、韓国、ニュージーランドの5カ国で展開されており、これまでに400万マイル以上の走行を重ねてきた。これは、実際の使用実績と技術的信頼性を備えた唯一の大型燃料電池電気モデルとなる。
イベントで展示されたモデルは、2つの90kW水素燃料電池システム(合計出力180kW)と350kWの電気モーターを搭載した6×4トラクター。総重量は最大82,000ポンドで、フル積載時でも1回の充電で450マイル以上の航続距離を提供する。
XCIENT Fuel Cellは、ヒョンデグループの水素エネルギー専門事業ブランドであるHTWOが提供する世界最高水準の水素燃料電池システムを搭載。
HTWOの事業には、先進のエアモビリティ、自動車、船舶、鉄道などのさまざまな形態のモビリティと、定置発電にヒョンデ独自の燃料電池システムを応用することが含まれる。
ツァイリンガー氏は、業界のパネルディスカッション「時代の先を行く: 新興車両の可用性」にも参加。このディスカッションでは、車両の調達、燃料電池貯蔵システム、次世代の燃料電池自動車(FCEV)の最先端技術、商用化の時期について取り上げている。
彼は、ヒョンデが燃料電池技術のパイオニアであり、世界中で実証済みの製品とサービスを展開していることを強調した。
「Hyundaiは20年以上前から水素に着目してきました。当社の先進的な燃料電池技術は、さまざまな用途、特に商用車分野ですでに使用されており、そのパワフルな性能と信頼性を示しています」
商用車分野とその先にある水素の可能性
ヒョンデは、生産、輸送、流通、貯蔵におけるさまざまな利点から、エネルギー集約型大型トラック輸送を含む商用車(CV)のクリーンエネルギーソリューションとして水素を位置づけている。
水素は高密度のエネルギー担体で、燃料電池自動車(FCEV)による長距離走行と重い荷物の運搬に適した持続的なエネルギー出力の提供を可能にする。
FCEVは、バッテリー式電気自動車(BEV)と比較して、より迅速な燃料補給によってダウンタイムを最小限に抑えることで、作業効率とインフラ効率を高める。
ヒョンデは、米国政府の多大な支援と水素市場へのさらなる参入によりFCEVの総所有コストが大幅に低下し、気候変動とサプライチェーンの問題によってクリーンエネルギーへの移行が加速することを確信している。
ヒョンデはまた、食品廃棄物、家畜の糞尿、下水汚泥などの有機廃棄物から抽出したバイオガスを水素製造システムに利用する「廃棄物発電」によって、クリーンな水素エコシステムの開発を促進。
このクリーンな水素は、輸送、建設、発電など、さまざまな産業で応用されている。同グループは現在、韓国の地方公共団体とコンセプトビジネスモデルの実証を行っており、韓国以外の都市への展開を検討している。
さらに「廃棄物発電」によるクリーンな水素生産から二酸化炭素の回収、利用、貯蔵(CCUS)、輸送、供給、応用まで、バリューチェーンの全体を統合する水素エネルギーのビジネスモデルを検討している。
【主要諸元】
関連情報:http://worldwide.hyundai.com
構成/土屋嘉久