健康総合企業のタニタは全国の20歳〜69歳のお酒を飲む習慣があり、仕事で社用車を運転することがあるドライバー1000人を対象に「飲酒運転に関する意識調査2023」を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。本稿では、その概要をお伝えしていく。
3回目となるこの調査だが、今回は3年5か月ぶりに行われた。その間に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活様式の変化や、白ナンバー社用車における運転前後のアルコールチェックの義務化(※)など、飲酒と飲酒運転を取り巻く社会環境は大きく変化を遂げただけに、結果が注目される。
飲酒運転についての基礎知識
飲酒運転についての基礎知識に関しては、社用車ドライバーの約4割が「お酒を飲み過ぎても一晩寝れば運転しても大丈夫だと思う」と回答。特にお酒に強いと答えた人では5割に達した。
また、「アルコールがからだから抜けきっていないと思いながら通勤や仕事で車を運転することがある」と答えた人は2割となり、5人に1人は飲酒運転の恐れがある状態で運転した経験があるという結果になった。
職場で行われている飲酒運転の防止策
職場で行われている飲酒運転の防止策については、防止策が取られていると答えた人は7割を超え、前回調査から10ポイント以上上昇した。
飲酒運転を防止するための具体策として、「社用車の運転前にアルコール検知器による社内チェックを実施する」と答えた人が4割を超えトップで、前回調査から2倍以上に大幅上昇。
社用車運転者のアルコール検知器によるチェックの義務化は延期となっているが、飲酒運転となる危険性を数値で可視化することにより防止に取り組んでいる職場が多いことがわかった。
その一方で、「アルコールの基礎知識を学ぶ機会を設ける」と答えた人は、前回調査から10ポイント弱下がり、職場で飲酒と運転に関して正しい知識を学ぶ機会が減少しているという実態も明らかになった。
アルコール検知器の有効期限について
アルコール検知器は検知器に息を吹き込むことで体内に残留するアルコール濃度を計測する。そこで正しく計測するには検知器を適切に保管した上で、使用期間や計測回数といったセンサーの有効期限内で使用することが必要だ。
こうしたアルコール検知器に関する知識の認知状況についても調査した。
その結果、社用車ドライバーの7割近くがアルコール検知器には有効期限があることを知らないと回答。さらにアルコール検知器による社用車運転前のチェックを実施すると答えた人においても、半数以上でアルコール検知器の有効期限があることを知らないという実情が判明した。
アルコール検知器が誤検知する可能性
適切に保管されていないアルコール検知器では誤検知する可能性があることについては、6割近くが知らないと回答した。
実際に社用車の運転前にアルコール検知器によるチェックを実施している人においても、適切に保管されていないアルコール検知器では誤検知する可能性があることを知らずに利用している人が4割を超えている。アルコール検知器の使い方やメンテナンスなどの基礎知識が身についていない可能性がわかる結果となった。
飲酒運転を防止するためには、アルコール検知器によるチェックとともに、安全運転管理者をはじめドライバーがアルコール検知器の使い方を知ることと、組織内でドライバーに限らず関係者が飲酒と飲酒運転に関する正しい知識を学べる機会を定期的に設けることが重要だと言えるだろう。
※2022年4月に施行された改正道路交通法施行規則では、安全運転管理者による運転者の運転前後の酒気帯びの有無の確認を行うことおよびその内容を記録して1年間保存することが義務化されました。また、同年10月からは目視確認の他、アルコール検知器を使って運転者の酒気帯びの有無を確認記録し、その内容を1年間保存すること、さらにアルコール検知器を常時有効に保持することが義務化されることとなっていましたが、アルコール検知器を用いた確認の義務化は延期されています。
構成/清水眞希