光熱・水道費や保険料など、毎月の固定費を把握しているだろうか。削減すべき項目はどこか。まずは左の黄金比と比較してほしい。現状把握こそ、削減成功の第一歩だ。
ファイナンシャルプランナー
飯村久美さん
金融機関在籍中にFP資格取得。2006年FP事務所開業。手がけた家計相談は1000件超。最新刊は『年収300万円でもラクラク越えられる「貯蓄1000万円の壁」』。
節約を長続きさせるコツは身近な〝夢〟を持つこと
ファイナンシャルプランナー(FP)の飯村さんは、以前から、理想の家計支出の割合を算出している。貯蓄が苦手な家庭に、家計の見直しのきっかけにしてほしいからだ。
1000件を超す家計相談で培った知見をベースに、公表されている物価や家計の動向を加味して、定期的に数値を見直す。その最新版が上の大きな円グラフである(尾得家をモデルに、世帯年収800万円の共働き4人世帯、小学生と中学生の子供がいる場合で算出)。
ただし、見方には注意が必要だ。
「自分の家計と比較して、大きな差のある費目があっても、ライフプランや価値観に合っているなら構いません。住居や食費など、こだわりを持つ部分はそれぞれです。しかし、無意識のうちにお金をかけすぎている費目があれば、そこが見直しのポイント。お金が貯められない家計には、そうした〝思わぬ支出〟が必ずあります」(飯村さん)
ムダ使いを発見できても、多くの人に経験があるように、削減や節約を続けるのは至難の業。長く続けるにはどうすればよいのか?
「例えば、貯蓄の目標を1000万円に設定しても、遠い感じがして、次第にやる気が失われます。お金を貯めるには、背中を押してくれるような強い動機となる〝短期的な夢〟が必要なのです」
飯村さんは、4人世帯の妻から、「食費を月に2万円減らしたい」と相談を受けたことがあるという。だが、その人は「買いたいモノを我慢するのは嫌」という難題も突きつけた。そこで、飯村さんは、近いうちにやりたいことを質問し、「4年後、夫の勤続20年に家族でハワイ旅行に行く」という短期の夢を聞き出した。すると、食費の2万円は「ハワイ旅行費用の2万円」に変わり、本気度がアップ。難なく節約ができるようになったという。
節約のモチベーションが維持できれば、後は効果的な節約方法を学ぶだけ。それは、各分野のエキスパートが次ページ以降に解説する。
光熱費や通信費は、料金で質が大きく変わるわけではないので、なるべく安く抑えたい。保険は、大幅削減が可能。これらの無駄を見直せば、4人家族で年50万円の削減も夢ではない。
【1】現状把握|家計の黄金比と比べて、何の支出が多いか把握する
FPの飯村さんが作成した黄金比は、固定費4:変動費5:貯蓄1。各費目の割合は円グラフのとおり。これを基準に、家計のムダを把握する。
理想的な家計の内訳
平均的な家計
「家計調査」をもとにした平均的な家計(貯蓄は推定額)。全国均等の調査のため住居費が低めに出やすい。食品の高騰が家計に重くのしかかる。
出典/総務省統計局「家計調査報告」(2022年平均結果/4人世帯)より編集部作成。
収入別・固定費の目安(月額)