2023年の静岡ホビーショーは事前予約制だった。そのため、行きたくてもいけなかったという人も少なくなかった。
実際、静岡市在住の筆者の身近にも「今年は無理だった」と嘆いていた人が数人いた。来年は事前予約制ではなくなり、いつでも誰でもツインメッセ静岡に入場できる「パンデミック前のホビーショー」になるのだろうか。
が、来年の話は来年にならないと分からない。今は今年の静岡ホビーショーにどのような製品が出展されたのかを振り返ってみよう。
もちろん、ただ取り上げるだけでは面白くないから「できるだけ尖った製品」に絞りたい。
ウクライナ軍仕様のエイブラムス
さて、この記事を書いている時に「ウクライナ軍が近く反転攻勢か」という話題がメディアに躍り出ている。
筆者は軍事評論家ではないため、本当にウクライナ軍が攻勢に出るのかどうかは分かりかねる。が、ウクライナ軍がアメリカを含む西側諸国から最新型戦車を受け取っていることは確からしい。
それはつまり「M1A1エイブラムスのウクライナ軍仕様」がそろそろ登場するということだが、プラモデルの世界には既に存在している。
タミヤが開発した1/35スケールのウクライナ軍仕様エイブラムス。
ホビーショーの時点では「製品化進行中」とあるが、もしも本物のエイブラムスがウクライナ東部の戦線に投入されたらより具体的なデザインが固まるのだろうか……。
タミヤは、この世界にソビエト連邦という国があったころから東側の戦車を模型化していたことでも知られている。つまり、テレビや新聞に掲載されるような「ホット」な兵器を製品にしてしまうということだ。
1979年、タミヤは1/35スケールのT62戦車を発売した。
この時代のソ連はブレジネフ時代で、アフガニスタンでの紛争に介入した年でもあった。そしてT62は、当時のソ連の主力戦車である。そんな代物を西側陣営の会社が模型化してしまったのだから、とんでもなくスケールの大きな話だ。
21世紀を20年も過ぎた現代でも、その姿勢は変わっていないようだ。今話題の兵器を即座に模型化する。これがタミヤの神髄とも言える。
押し入れの中のノルマンディー
その一方、ミリタリー模型の「花形」と言えばやはり第二次世界大戦である。
ウォルターソンズの開発した「1/72ノルマンディー上陸作戦」は、パネル形式の模型である。
ノルマンディーの海岸線を表現した地形パネルをつなぎ合わせ、さらにその上に米独両陣営の戦車や兵士、トーチカを乗せて楽しもうというコンセプトだ。
パネル式の利点は、収納可能という点である。戦車模型において1/72は小さいほうだが、それでも日本の家ではジオラマを常時展開しておくのは難しい。
従って、楽しみたい時にだけパネル式のジオラマを組み立てて良い頃合いになったら収納して押し入れにしまう……というコンセプトの模型に需要があるというわけだ。
それにしても、戦車や小型車両のみならず「担架で運ばれる負傷兵」もいるというのは何とも……。
ウォルターソンズのキャッチコピーは「ケタ違いの情熱」だが、筆者が見た中でもこのメーカーの製品は一、ニを争うほどの尖り具合である。
■関連情報:ウォルターソンズジャパン「ザ・フライトデッキシリーズ」