車の減速をする際に使用する「エンジンブレーキ」。適切に使うことで、坂道などでも安全に運転できる。しかし、フットブレーキだけでも運転することが可能なことから、普段はあまりエンジンブレーキを使わない方も少なくないだろう。
そこで本記事では、エンジンブレーキの使い方やフットブレーキとの違いについて紹介する。ぜひ今後運転する際に参考にしてほしい。
エンジンブレーキとは
はじめに、エンジンブレーキの特徴や使い方について解説する。併せて紹介するフットブレーキとの違いについてもおさえておこう。
エンジンの抵抗を利用した減速方法
エンジンブレーキとは、エンジンの回転抵抗を利用したブレーキのこと。フットブレーキを使わず、アクセルの踏み込みを止めたりギアチェンジしたりするだけでブレーキをかけられる。
走行中にアクセルの踏み込みを止めると、タイヤの回転も減少して走行スピードが下がる。より強くかけたい場合は、「2(セカンド)」「L(ロー)」のような低速ギアを使用してシフトダウンすると良いだろう。
エンジンブレーキのかけ方
低速ギアを使ったエンジンブレーキのかけ方は、オートマ車(AT)とマニュアル車(MT)でそれぞれ違いがある。
【オートマ車(AT)の場合】
オートマ車では、シフトブレーキをドライブの「D」から「2(セカンド)」「L(ロー)」へと下げる。最近では「M」と、さらにその上下に「+」「-」と表記されたタイプの車もあるが、その場合はシフトレバーを「M」の「-」に傾けるとギアが下がる。
オートマ車のシフトレバーは車種によって仕様が異なるため、レンタカーなど、普段運転しない車に乗る前には操作方法を確認しておくと安心だ。
【マニュアル車(MT)の場合】
マニュアル車の場合は、4速よりも3速、3速よりも2速のように、ギアの数字が小さいほど強いブレーキをかけられる。緩やかな坂道と急なカーブでは最適なエンジンブレーキの強さが異なるため、状況に応じて使い分けられるようにしておきたい。
フットブレーキとの違いは?
フットブレーキとは、車のスピードを落とすために通常使用するブレーキのこと。一般的にフットブレーキのペダルは運転席の足元にある。
フットブレーキは、ペダルを踏むとブレーキランプが点灯し、後続車両に減速していることを伝えられるのが特徴だ。また、タイヤの回転数を少なくして徐々に減速するエンジンブレーキと異なり、すぐに減速できるのもフットブレーキの特徴の一つ。停止や急減速したい時にはフットブレーキを使う方が良いだろう。
エンジンブレーキを使うタイミング
次に、エンジンブレーキを使うシチュエーションを紹介しよう。エンジンブレーキを正しく使うことで安全運転や省エネにも繋がるため、知っておいて損はないはず。
下り坂
下り坂では、減速回数が多くなる。フットブレーキを使いすぎると、徐々にブレーキが利かなくなり、最終的にはブレーキペダルを踏んでも減速しなくなるべーパーロック現象やフェード現象が起きやすい。そのため、下り坂ではエンジンブレーキを使って、フットブレーキの使用回数をなるべく減らすことが重要だ。
赤信号前
赤信号で停車する時にもエンジンブレーキを活用すると良いだろう。徐々にスピードを落とすことで、後続車が衝突するのを防ぎ、安全に停止できる。
また、エンジンブレーキは、エンジンに送られる燃料を大幅に減少させられるのが特徴だ。こまめに使用すれば、燃料を節約することにつながる。安全面だけでなくコスト面や省エネの視点からも、エンジンブレーキを適度に使うのがおすすめだ。
エンジンブレーキを使用する際の注意点
最後に、エンジンブレーキをする際の注意点を説明しよう。
エンジンブレーキを使いすぎない
エンジンブレーキを使うことで、ブレーキパッドやブレーキローターの消耗は抑えられる。しかし、使い過ぎてしまうと、エンジンやミッションへの負担が増し、故障リスクが高まる。そのため、エンジンブレーキはむやみに使わず、適切な状況で使うようにしよう。
フットブレーキも併用する
ブレーキランプが点灯しないエンジンブレーキでは、減速したことを後続車に伝えることが難しい。急なエンジンブレーキの使用は後続車に迷惑運転をしていると判断されたり、速度の変化に気付かなかった後続車に追突されたりする危険性もある。
過度にエンジンブレーキに頼るのではなく、適切なポイントでエンジンブレーキを活用するといいだろう。
※データは2023年6月上旬時点のもの。
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文/編集部