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わずか5分間の充填で航続距離は820km!完成度の高さに驚いたヒョンデの燃料電池自動車「NEXO」

2023.06.04

 韓国のヒョンデモーターは、1967年に設立され世界200か国以上に製品を輸出している自動車メーカー。2021年には391万台以上の自動車を販売し、生産台数で世界6位に入っている。BMWやメルセデス・ベンツより生産台数は多く、大きなメーカーなのだ。

 今回、日本市場に投入したのは、FCEV(水素燃料電池)の「NEXO」とEVの「IONIQ 5」の2車種。「NEXO」はヒョンデ独自の技術で開発した「FCEV専用システム」を実用化。2019年のアメリカ「Wards Auto10ベストエンジン」にも選ばれている。

 そのテクノロジーは、水素と大気中の酸素で電気を生成し、モーターで走行するので、汚染物資を排出しない。3段階の空気浄化システムにより走行中の大気汚染を除去する。1回、5分間の水素充填で約820kmの航続距離を実現。などが挙げられる。

 今回、試乗した「NEXO」は全長4670mm、全幅1860mm、全高1640mm、ホイールベース2790mmというサイズのSUV。大きさのイメージは、背が高いレクサス「NX」に近いサイズのコンパクトSUVだ。

 EVの「IONIQ 5」が直線的なスタイリングの5ドアに対し、「NEXO」は曲面で構成されたデザインを採用し、対比を見せている。空力性能を向上させたというボディーのCD値は0.32を達成。フロントマスクの左右両端下のエアカーテンやCピラーのエアトンネルなど、視覚的にも空力性能の高さをアピールしている。

 運転席に座ってみると、目の前には10.25インチと12.3インチの液晶ディスプレイが一枚の板のように横長に拡がっている。最近のメルセデス・ベンツやBMWも同じ方式を採用しているが、ヒョンデのほうが早かった。インパネからセンターコンソールも同一面で構成され、運転席、助手席はセパレートされ、コクピット感が強い。

 水素燃料のパワーユニットだが、電池(セル)は432個で129PS。モーターは163PS、395Nm。水素タンク容量は156.8ℓだ。この数値を他車と比較してみると、トヨタ「MIRAI」はセル数330個で174PS、モーターは182PS、300Nm、タンク容量は141.0ℓ。このクラスのFCEVとしてはこのあたりが標準的なのだろう。ちなみに車両本体価格だが、「NEXO」は776万8300円、「MIRAI」は710万円~で、「NEXO」は1グレード、「MIRAI」は6グレード用意されている。

ドライブモードを「ノーマル」に設定して、パワーユニットスタート。プッシュスイッチでDレンジを選ぶ。ウインカーレバーは国産車と同じ方式。右コラムレバーを操作する。ウインカーを右に出し、スタート準備。ウインカー操作と同時にメーターパネル右のエコメーターの画面が切り変わり、右後方の画像がうつし出された。目線をメーターにすれば、後方の様子がわかる。

これは左側も同じ。ウインカーレバーを左折にすれば、メーターパネル左のスピードメーターが瞬時に左後方の様子をうつし出すのだ。こういう新技術は安全運転にも大いに役立つ。スタートからの加速は、俊敏とはいかない。ややもっさりとスタートする。0→100km/の加速を計測してみると9秒台。加速は途中からグンッと速くなることもなく、大人しく車速を高めていく。

 また、パドルレバーは回生の強さを調節するため。左は2段階、右は1段階で調節できる。走行用のモードはP/R/N/Dのすべてがプッシュボタンになっており、操作する。
ハンドリングは基本的に重めで、直進性が強めの設定となっている。カーブや交差点での切りこみも直進性が強く感じた。ネッソは前輪駆動だが、かつてのFF車のような特性を思い出した。

 乗り心地はノーマルモードでは若干のゴツゴツ感はあるが、硬すぎず、不愉快な感じはしなかった。エコモードでは上下動がやや大きくなり、横揺れも加わり、落ち着き感はイマイチだった。タイヤはハンコックの「Ventus SIエボ2 SUV、245/45R19」を装着していた。

 実用性に関してだが、後席の着座位置はやや高め、床はフラット。頭上のスペースは十分確保されている。背もたれは4対6で分割可倒できる。後部のラゲージスペースは奥行き、左右幅ともに1m以上。水素タンクは後輪前後の床下にレイアウトすることで、ラゲージスペースも確保している。後席の背もたれを前に倒せば、フラットなスペースができる。

 先進装備としては、リモートパーキングシステムまで備えている。安全性能もトップレベルだ。水素燃料電池SUVの「NEXO」は、加速時やブレーキング時に、エンジンの音がしないことを除けば、普通に乗れるクルマだ。EVのようにスタートからの加速が敏感なほど鋭いこともなく、普通に運転できる。

 今回は、水素ステーションでの充填は体験できなかったが、メーカーの解説によれば、5分間の充填で約820km走行できるだけの水素を充填できるという。これからの時代のクルマとして、水素燃料電池車も十分に資格がある存在になるに違いない。

■ 関連情報
https://www.hyundai.com/jp/nexo

文/石川真禧照(自動車生活探険家) 撮影/藤岡雅樹

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